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ジワジワと
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その日から、毎日同じ夢を見た。
戀兎といい雰囲気になると、首のキスマークが見つかって、険悪になる夢。
『ゆうちゃん…、これ何?』
『え?あ!?ええ!?こ、これは…』
僕は戸惑って慌てて、上手く言葉が出なくて、戀兎が軽蔑したように僕を睨む。
『違ッ!こ、これはマキさんが…』
名前を口にした途端に、僕は背後から抱きしめられた。白い細い腕が僕を抱きしめ、耳元で妖艶に微笑む。
『ふふ、僕とゆうちゃんの仲だもんねぇ♪』
クスクス笑いながら、裸のマキさんが、僕に絡みついて、戀兎に向かって煽るように笑った。
『ふふ、美味しかったよ♪』
『ッ…、二人とも…汚い…』
軽蔑したと顔を歪ませた戀兎から厳しい言葉が漏れて、僕はやっと現状を把握した。
『違う!違うんだ!マキさんがふざけただけで!』
『ふざけて、裸でキスマークつくようなことしたんだ』
『はだ…、ち、ち、違うよ!裸なんか!』
慌てて否定しても、言い訳じみてまします戀兎が気持ち悪いものを見るように顔を歪ませてあとずさる。
『待って!行かないで!』
『ふふ、いいじゃんゆうちゃん、また二人っきりでシャワー室でイイ事しようよ♪』
マキさんの一言で、戀兎が踵を返して走り去る。追いかけたいのに、僕の足は重くて、マキさんが離してくれなくて、戀兎に向かって手を伸ばして叫ぶことしかできない…
『待って!待って戀兎!!』
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「もう、うんざりだ…、嫌な夢は毎日見るし、跡は消えないし…眠いし…、裸のマキさんもう嫌だ…」
放課後の図書室。
静かに読書する岩龍君の隣で突っ伏して愚痴をこぼしていると、岩龍君は、本から顔を上げて、僕の背中を優しく撫でてくれる。
「それは困りますよね。でも大丈夫ですよ、有馬先輩には幸い見られなかったみたいだし、お話も普通にされてるじゃないですか。マキさんには困りますよね。…マキさん、悪い人じゃないんですけどね」
優しい岩龍君は、困ったように眉を寄せて僕を労ってくれる。
「悪い人じゃないかもしれないけど、今は悪い人にしか見えない」
ブーたれる僕に、岩龍君は困り顔で苦笑い。
マキさんは悪い人じゃないと〝感じる〟けど、なんか悪意というか、意図的に色々してる気がするんだよね。水森先輩もそうだけど、あの二人の胡散臭さ半端ない。
「もー、マキさんどうしていちいちあんな絡んでくるんだろ…。あんな綺麗な顔してるし色気もあるんだから、僕や戀兎に構ってないで好きな人に構って貰えばいいのに、あのマキさんの綺麗な顔なら誰だってイチコロなのに…」
「ふふ♪僕ってそんな綺麗?」
甘い声色が耳元で囁やかれ、振り返ると、ニコニコ意地悪な笑顔のマキさんが真後ろにかわい子ぶりっ子でそこにいた。
デジャブ!!。
「ぎゃーーーーッ!!」
思わず叫んだら、口を塞がれて、マキさんの綺麗な顔がどアップで「シーッ」って人差し指を口ものに当てて笑ってる。
僕の隣にいた岩龍君も驚いて開けた大きな口を自分の両手で塞いでブルブル震えてる。
「ふふ♪僕って地獄耳だから召喚されちゃった♪」
よ、呼んでません!!!
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