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義兄の姿が見えなくなると涙を拭った
ため息をひとつ
何事も無かったように離れの鍵を開けて中に入ると鍵はかけなかった
洗面台まで行き歯磨きをした
顔を洗って鏡に写った自分を見る
鏡に写った僕は笑っていた
下手くそなキス
あんなので僕をどうにかでも出来ると思ってるのだと思うと笑えてしまう
母家よりも使い勝手の良い、広々としたキッチンに行くとテーブルの上に置いていた携帯が鳴る
急いで携帯を手に持つと深呼吸をして画面をタップする
「…はい」
「凪か?」
電話からお腹に響く低い声が聞こえた
「はい」
「今日は少し遅くなる」
「はい」
「面倒は起こしてないな」
「はい」
「なら、いい」
プツン
切れた携帯を見つめて、もう一度深呼吸をした
家での僕は家族ではない
血の繋がりは父だけ
義母達の前では、言い訳も反論もしない
義兄の前では、怯えた子羊
言われた事をして
この離れに住まわせてもらっている
建前は
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