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俺の過去-5
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今年25歳になる女教師の目は潤んでいたが、見ない振りをして斜め前に座ると俺は空腹で話すことも面倒になっていたので、黙って時間が過ぎるのを待っていた。
「……お父さん遅いわね。ちゃんと私が来ることを伝えてくれたんでしょう?」
悲惨な家の様子を見て心配になったのだろう、そう聞いてくる倉木先生に申し訳なくなってきた俺は、このまま帰ってくれそうにもない様子に腹をくくった。
「帰って来ないよ」
「……まさか、ずっとなの?」
「……」
「ちょっと佐藤くん!?」
悲鳴のような声で俺の名前を呼んだ先生の泣きそうな顔を見て、もうこれ以上はごまかせないと思った俺は、今の状況を話すことにした。
言葉を発することすら面倒臭くなっていた俺だけど、この先生にはきちんと話さなければいけないと思ったんだ。
話し終えたあとの先生の行動は素早かった。児童福祉法とか難しいことを話していたけれど、俺は親父とはもう住めねえのか……ぐらいにしか頭が働かず、相変わらずぼんやりしていたと思う。
それから大人の言いなりになり、親戚が何人か集まって話し合いをした結果、親父の兄の家に引き取られることになった。
伯父は事業に成功していて経済的にも余裕があり、俺一人が増えても痛くも痒くも無さそうだった。
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