アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
誕生日を祝う-2
-
神崎と百瀬が戻る頃には、なかなか素敵なパーティルームに仕上がっていた。黒田が手先の器用さを発揮して、バルーンアートでお洒落に飾ってくれたのだ。
皆が揃ってさあ始めるかという時に、黒田が帰ろうとしたので引き止めると、涙声で参加させてくれてありがとう、と言っていた。
ーー人って随分変わるもんだな。
今日の黒田は長く艶やかな黒髪を降ろし、クリーム色のサマーセーターにパステルグリーンのスキニーパンツを履いている。髪を伸ばすのは年の離れた妹の趣味で、実は鬱陶しいのだと恥ずかしそうにしている。
本日主役である速水は清潔な綿シャツに、下は黒のチノパンで、とてもラフだが育ちの良さが現れてとても上品だ。薄茶色のウェーブがかかったふわふわの髪で、瞳も琥珀色のせいか西洋の人形に見える。
二人が並ぶとどこかのお嬢さん?と言いたい所だが、速水は剣道の達人だからな。人は見かけによらないものだ。
今日一日で急速に仲良くなったのか、意外と格闘技の話に花が咲いているようだ。
なんか丸く収まって良かったなとしみじみ思いながら、百瀬がやりたくて夢にまで見たという「あーん」の食べさせ合いを、面倒くさいと思いながらも付き合ってやった。一応ついででもやつの誕生日祝いだからな。
俺の口の中にケーキを入れた後、使用済みのフォークをこっそりお持ち帰りしようとしたので、奪い返しておいた。
ーーそれを持ち帰って何に使うつもりだよ……。
咎める俺の視線を軽く受け流し、自分も食べさせてくれと百瀬が強請るので、いつもの調子で喉の奥、嘔吐く位置までケーキを突っ込んでやった。
当然百瀬はオエッとなり、吐き気を堪えて悶絶したが、ここまでが通常運転だ。百瀬の股間がゆるりと勃ち上がり、興奮しているのを目にした俺は、漸く目が覚め青ざめていった。
皆の視線を感じて焦ったが、百瀬の股間にはクーラーが効き過ぎだと言い訳をして、薄手のブランケットをそっとかけておいた。
習慣というものは恐ろしい。俺と百瀬がいかに普通でないかと思い知らされる集まりでもあったのだ。
トイレに立つ時、お約束でジュースの入ったグラスを百瀬の両手の甲に乗せ、放置したことも後々後悔した。スッキリして帰って来ると、手の甲にグラスがあるので身動きの取れない百瀬が「我慢プラス放置プレイだ!!」と息荒く喜んでいる姿を、俺もまとめて可哀想な子達を見る目で見られてしまった……。
満腹になって寛いでいると百瀬がくっついて来たので、ギリギリまで胃袋を圧迫し、やばいと思ったら手を離すという、俺たちだけで流行っている遊びをしていたら、完全に引かれてしまった。
ーーこれはかなりやらかしてるな。
俺も久々の誕生日パーティーで、お恥ずかしながらはしゃいでいるのだ。だからと言って、俺と百瀬の危ない関係がバレるのは避けたかったとも思う。もう遅いのだが。
「百瀬と佐藤の関係って……もう二人だけにしか分かり合えない域に達してるよな」
朝丘が遠い目をしながら達観した表情で話すのを見ると、何だかいたたまれない気持ちになってくる。
「僕達は全然平気だから、どんどん続けてよ」
すっかり仲良くなった速水と黒田は、俺たちにもすぐに順応し、好きにやれと笑っている。
ーーあぁ、常識人でありたかったな。
何とか取り繕いたいのに、さっぱり思い浮かばない。しょげている俺を見た百瀬が何を勘違いしたのか俺の肩を叩いて励まして来た。イラつく。
「まあ、二人が幸せならそれでいいじゃないか。僕は百瀬たちのような関係に憧れるよ」
そう神崎が言った瞬間、朝丘が猛スピードで離れて行った。
「俺にはレベルが高過ぎる」と言いながらブルブル震えているのが初々しくて可愛らしい。
そのうち俺たちの行動にも慣れてくるだろう。朝丘よ、その日を待つが良い。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
63 / 96