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そして交わる-1
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散々騒いで大いに楽しんだパーティーが終わり、皆で分担して片付けるとあっという間に終わった。
ここ何年か皆と行動を共にすることが無かった俺には、新鮮に感じられる事ばかりで、胸が熱くなっている。
百瀬と部屋に帰りがてら少し散歩をしていたら、立ち入り禁止の旧校舎の前で、この学園では珍しく少しガラの悪い連中が、たむろしているのを見かけてしまった。
俺は早足で立ち去ろうとしたのだが、百瀬は見逃すわけにはいかなかったようで、彼らにずんずん近づくと、静かだが迫力のある声で注意し始めた。
「なんだこの野郎。休憩しちゃあ悪いかよ」
百瀬の声を遮って一人の生徒が歯向かって来たのだが、相手が百瀬だと気がついた途端、あ、その、と歯切れが悪くなった。
「ここは、近々取り壊されることになっている。明かりも乏しく足元も見えにくいだろ。怪我するといけないから、すぐに離れるんだ」
凛とした百瀬の声が夜の静けさの中に響き渡ると、皆一斉に立ち上がり、口々に悪かったよ、もう来ねえさ。と言いながら散らばって行った。
ーーへぇ、こいつ外ではこんなに凛々しいんだな。ちょっと見直したぜ。
感心した俺は「俺の恋人かっけえ、ヒャッホー」とまではいかないが、まあまあ感動して、やるじゃんと百瀬の胸元をパンチした。
「んああっ」
「……」
パンチごときで感じてしまった百瀬が暗闇でも分かるほど顔を赤く染め、目を泳がせながら、こ、こんな所で……と勘違いし出したので、俺はきっと魚が死んだような目になっていると思う。
さっきの感動を返して欲しい。
部屋に帰ると流石に疲れた俺は、ソファーでぐったりしながらのんびりと、部屋着のジャージに着替えている。
百瀬には疲れるという感覚が欠落してるのではないかと心配になるほど元気がいい。良すぎるぐらいなのだ。さっさと生地の良いスウェット上下に着替えると、俺が脱ぎ散らかした私服を拾って、クリーニングに出す専用籠の中へ放り込んでくれた。
「だいぶん過ぎたが、お前の誕生日祝いでもあるんだから、この際何が欲しいか言ってみろよ。俺の小遣いで買えるものなら用意するぜ?」
とは言ったものの、俺は毎月本を大量に購入しているのであまり残ってないのだが。いざとなれば貯金でも降ろすかな。
俺があれこれ金策していたら、百瀬が急に黙り込んで俯いてしまった。
次に顔を上げた百瀬は熱い目で俺の全身を舐め回すように見ている。
「……お前の全てが欲しい。とかキモいこと言おうとしてるだろ」
俺の予想が当たっていたのか、あからさまにギクリとした百瀬は情けない顔をして、少し残念そうにしている。
「あーーもう。しょうがねえなちょっと待ってろ」
俺は覚悟を決めると風呂場へ向かった。ネットで調べた通りにトイレとシャワーで、下準備として後ろを綺麗に洗い終えると、バスタオルを腰に巻いて百瀬の前に立ち、ポカンとしているやつの手を引いて「行くぞ」と部屋に連れ込んだ。
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