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百瀬の幼馴染-2
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「さ、佐藤?さとう……えっ、さとう、だよな」
ーーだから俺は糖分(さとう)じゃねえ!
何回も俺の名前を呼びながら、百瀬が嬉しそうに飛び付いて来たので、俺は慌てて百瀬を睨んだ。百瀬が俺に睨まれて若干息が荒くなっているので、どうしたものかと迷っていたら、そんな俺たちのやり取りを見ていた大杉が百瀬に声をかけた。
「百瀬、久しぶりだな」
「んあ?おう!大杉じゃないか。こんな所で会うとは珍しいな。部活はどうだ?」
「……明日、練習試合がある」
「そっか。お前なら勝てるだろ、頑張れよな」
ーーこの二人は知り合い……いや、かなり仲の良い友達だったのか。
すぐに朝丘と連絡を取ると、ちょうど買い物が終わった所だった様で、神崎が来ている事を告げるとすぐにやって来た。
「今日は百瀬がそわそわして落ち着きがなくてね、久々にこの街の見廻りでもしようかと誘ったんだ。まあ、すぐにご機嫌になったけどね、ふふっ」
神崎が笑いをこらえながら、俺を意味深な目で見て来るので引き攣りながら笑っておいた。今の俺はかなり不気味だと思う。
神崎は朝丘と連れ立って、大通りから少し入った裏道を見て来ると言い残し、無駄に爽やかな笑顔を振り撒きながら行ってしまった。
残された俺たちは暫くその場で立ち話をしていたが、百瀬の提案で全席がゆったりとしたソファーで有名な、珈琲専門店に入る事になった。俺は帰ると言ったのだが百瀬が泣きそうな顔をするので、同室のよしみでなと言い訳をしながら付き合う事にした。
「大杉と佐藤って接点があったんだな。驚いたよ」
「ま、まあな」
セルフサービスの列に並び注文と会計を済ませると、四人がけのテーブルを確保していた二人と交代した。戻って来た百瀬が迷うことなく俺の横に座るので、二人の関係がバレないかと冷や冷やしている。
百瀬はそんな俺の心配などお構い無しで、ヘラヘラしながらやたらと近距離に迫って来る。大杉がごく自然に対応しているところを見ると、百瀬のかっこいいだけの姿以外も知っている様だ。
「俺と大杉と神崎は小学生の頃からのダチなんだ。だから何も気を使わなくていいからな」
ーーいやいや、気ぃ使うって。
沈黙を守る俺を見て大杉がニヤリと笑うと、俺の知らない子供の頃の話をし始めて、百瀬が今とは比べ物にならない程可愛くて、見た目も美少年だったと褒めちぎった。
それから俺はすっかりおいてけぼりになり、昔話に花を咲かせた二人を横目で見ながら、本屋にまだ行って無いことを思い出し、いつ抜け出そうかなと考えていた。
「……なあ、佐藤。君もそう思うだろ?あははっ」
「あっと、すまん。聞いてなかった」
盛り上がってる二人の会話より、隣の席のやたらと甲高い声で彼氏の悪口を言い合っている女子高校生の方が気になって、そちらばかり見ていたら百瀬に話しかけられていた。
「もう相変わらずだな、佐藤は」
学園から出たという解放感からか、百瀬はやたらとよく喋る。おまけに大杉の前だと言うのに、俺への甘さがダダ漏れている。こいつ大丈夫か?
それからも百瀬と大杉は小学時代の話で盛り上がっているのだが、俺はある事に確信を持っていた。大杉の目だ。百瀬が話している間、視線をそらさずじっと見つめている瞳には、男友達以上の熱がこもっていたのだ。
ちょくちょく俺に話しかける百瀬を見る時は、やるせないというか切ない目をしており、そこには恋心が含まれている。気が付いていないのは、きっと百瀬だけだろう。こんなに熱い目をしていたら誰でも気が付くはずだ。
ーー大杉は百瀬を恋愛対象として好きなんだ。
途端に胸がきゅーっと痛くなったが、こればかりはどうする事も出来ないし、俺だって百瀬が好きなんだ。
その時百瀬の携帯が着信音を鳴らし始めた。どうやら学園内にいる風紀委員からの連絡だった様で、俺たちに断りをいれると通話をする為、店外に出て行ってしまった。
ーーうわぁ、どうするよ。二人きりになっちまった。
俺の戸惑いが相手に伝わったのか、先に口を開いたのは大杉だった。
「君たち付き合ってるんだろ?」
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