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「…そんなことないんじゃないかな」
「え?どういうこと?」
「だって、空浮気ばかりしてた、海だって実際きこえたでしょ」
「っ…そうだけど…」
胸が抉られそうな気持ちだった
お願い、海にまで言わないで
僕が汚いなんて、言わないで
知られたくない
「空の心なんて俺にはもうなかったよ
だから、円満に別れたって言ってるだろ?
空も俺も他に好きな人が出来てしまった、だから別れた
お互い幸せになろうってそういう意味で別れたんだ
だから、俺は海と付き合うことが空のためにもなるって、そう思ってる
俺のことが好きなら、付き合ってよ
空のことなんか抜きにして、海の感情だけで俺を見て」
「律くん…」
僕の、ことなんか…
いつも心では思ってたことだけど、好きな人に言われるとこんなにも胸が痛い
「律く、んのことが…好き…っ!」
泣いているのだろう、震えた声で海がそう言った瞬間僕が背にしている壁がドンと、振動を訴えた
こんなに近くに居たのか、と驚く
「俺と付き合ってくれる?」
「う、ん…っ」
海の声がくぐもって聞こえる
僕はただ小さくなって、涙を拭いもしないで、声が漏れないように息を殺して両手で口を抑えた
「…んっ、ちょ、とまって律くん」
「昨日だって散々我慢した、昨日なんて話じゃない、ずっと我慢してきたんだ」
「んん、息、できなっ」
「可愛い、絶対幸せにするから」
「ん、も、昼休み終わるから…ご飯食べようよ」
「忘れてた、今度ゆっくり続きしよう」
「律くん、意外と手が早いの…?」
笑いながら話す声が遠ざかっていく
「やっと…行った…」
息が出来ないのは僕も同じだった
ただ、僕は胸が痛くて、息を殺すのに必死で、苦しかった
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