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(214)(柳野迅視点)
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「おい!どうしたんだよ!おい、空!」
フラリと傾く体をどうすることもできないまま、ゴトリと音を立ててヒョロヒョロの体が倒れていく
真っ青な顔に不安になる
こんなとき、どうしたらいいのか全く見当もつかない
とにかく怖くなって寮監に連絡をすると、すぐに向かうということだった
近藤は本当に憎い相手だ
小さい頃から比較されていたのももちろんだが、こんなに空を苦しませているのが許せない
俺が言えたことではないが
最初は近藤が1番辛いと思うことをしてやろうと思って手を出した
泣き顔が最高にいいと思っていた
でも、空のことを知れば知るほど何も考えずに笑っている顔が1番いいと思った
本当に花が咲いたように笑うんだ
友人として、そんな顔がもっと見たいと思った
近藤家と俺の家はずっと競い合って這い上がってきた
だからこそ俺は何度もあいつと比較されて、必死に食らいついてきたというのに、当の本人はいつでもすました顔で
馬鹿にされているように感じて、また必死になって
その繰り返しだった
でも最近、そこに終止符を打つような事実が分かった
とは言っても親父と俺しか知らない極秘情報だ
これが漏れれば間違いなく近藤は沈む
あいつがこのことを知っているのかどうかは定かではないが、あいつの親父は秘密裏に組と繋がっている
今調査中だが、薬の類もやっているのではないかという話だった
今日の実家からの連絡もこれに関係したことだ
先程、急用ができたから調査結果はメールで簡潔に頼む、と親父に送っておいた
寮監に連絡をした直後、返事のメールが来た
親父
件名:Re
__________________
クロだ
冷や汗をかいて起きる気配がない空も気になるが、メールを見て1人ほくそ笑んだ
「なんでお前はあんなやつのことをそんなに一途に思えるんだ…?」
眠る空からの返事はなかった
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