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コンコン
保健室の扉を控えめにノックした
中からどうぞーという伊藤先生の声が聞こえてきた
「失礼します」
「あれ?空くんだ、どうかした?具合悪い?」
「いえ、体調は凄くいいんです
ただ、ちょっと教室に居づらいので…
ここでご飯食べてもいいですか?」
「ああ!そういうこと!全然大丈夫だよ、今は誰も休んでないしね」
「ありがとうございます」
保健室の真ん中にある大きな丸いテーブルのひとつに腰掛けて、朝猛ダッシュで作ってきたお弁当を広げた
すると、奥にあるデスクで書類整理をしていた伊藤先生が前の席に座った
「あ、あの、僕がいるの気にしなくていいので!
仕事あるならやってください…」
「え?居ちゃダメ?それに俺もご飯食べるしね、仕事なんていつでもできることなんだから、一緒に食べよう、ね?」
伊藤先生はカウセリングもできるだけあって本当にこういう僕が気にしないようにしてくれるのがうまい
何度も助けられている
「…はい、すみません」
「謝ることなんてなにもないよ」
優しく微笑んだ伊藤先生のお昼ご飯は菓子パンと昆布のおにぎりと飲むヨーグルトだった
「昆布のおにぎり…美味しいですよね」
「本当にね!俺はもうおにぎりは昆布以外買わないよ!
空くんのお弁当、今日もすごい美味しそうだよね
自分で作ってるんでしょ?すごいよね」
「こんなの、全然大したことないです
今日なんて特に…寝坊しちゃったから…」
「あ、そうそう、昨日大丈夫だった?
俺は空くんが寝付くまで見守るつもりだったのに空くんが帰れってうるさいから…」
「帰れだなんて…そんなこと言ってないですよ!
あの後本当に爆睡しちゃって」
「さっき寝坊したって言ってたもんね、大丈夫そう
…同室の子とうまくやれてるんだね、よかったよかった」
「そうですね、最初はどうなることやらと思ってたんですけど…
迅さんは本当に優しくて、いつもすごく助けられてます」
「そうなの?学校ではトラブルメーカー?だから心配してたんだよ」
「あんまり言わない方がいいのかもしれませんけど、寮のときと学校じゃ全然キャラが違うんです
迅さんは自衛のためだって、言ってたけど…でも変装するのも辞めちゃったし、今はどうなんですかね」
そんな話をしていると突然保健室の扉が開いて、思わず肩が揺れた
「あ、いた
やっと見つけたよ空」
「迅さん…!どうしてここに?」
学校中で騒がれている噂の迅さんがそこに居たのだ
「どうもこうもないよ…思ってた以上に周りがうるさいから昼は空とって思ってたのに教室まで迎えに行ったら居なかったから焦った」
「え、来てくれたんですか、すみません…
連絡してくれれば良かったのに」
「したよ、空携帯見てないし持ってないでしょ?
携帯は携帯するものだよ」
「えっ!そうなんですか!本当にすみません…」
「見つかったからいいや、先生、俺もここで食べていいですか?」
「もちろん!今ちょうど柳野くんの話してたところだよ」
僕の隣に座った迅は僕と同じお弁当を開いた
沢山お世話になったからこれからは僕が迅さんのお弁当も作ることにしたのだ
お礼になるのか分からないけど、迅さんは喜んでくれた
他愛もない話をしてもうすぐ予鈴が鳴る時間になってしまった
楽しい時間というのはあっという間だ
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