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騒々しくて楽しくて、何もかも忘れられる時間はあっという間に過ぎ去った
軽く片付けをしてくれて、皆自室に帰ってしまった
一気に静かになる部屋で迅さんと二人きり
特に話すことも見つからなくて、残りの後片付けを黙々と進める
そんな空間に機械的な音が鳴り響く
「空じゃない?俺のはあんな音じゃないから」
「ちょっと、見てきます」
滅多に鳴らないその携帯
いつもこいつは良くないことばかり運んでくる
嫌な予感がした
メールは海からだった
件名はなかった
『誕生日おめでとう
遂に俺らも17歳だね
言ってなかったけど明日から金土日で実家に帰ります
昨日のこと、いきなり走って逃げたりしてごめん
空には言っておかなきゃと思って、メールしました
律くんと、付き合うことになった
謝るのは何か違うなって思うから謝らないけど、祝福して欲しいとは言わないし、空が嫌だったらもう俺達と話してくれなくなっても仕方ないと思ってる
でも、俺はいつでも空の味方だよ』
ギリ、と歯を食いしばった
いつもいつも綺麗で悪い所なんて見つからなくて、そんな海にこうやって黒い感情を持つ自分に嫌気がさす
こういう真っ直ぐで馬鹿正直なところに律は惹かれたんだろうか
皮肉なものだ
双子の誕生日の前日に弟と別れて、誕生日に兄と付き合うなんて
きっと2人で楽しそうに話していたように、ケーキを作ってお祝いしたんだろう
誕生日が付き合った記念日だから覚えやすい、とか話しているんだろうか
ボーッとして勝手に想像しては落ち込んでいるとまた携帯が鳴る
今度は律からだった
『話したいことがあるから明日の放課後俺の部屋に来て欲しい
海は明日から実家に帰るらしい』
何を話すんだろう、海のことなんだろうけれど
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