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昔の夢15
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瞬side
シンの顔はいつも以上に緩んでいて正直キモかった。
まぁ俺も人のこと言えないくらい驚いているが…。
遥が初めて見せた甘えは年相応の姿とともに見ることが出来た。こいつはシンに似てしまった。人の感情を瞬時に悟り相手が求める反応をする。
2年間育ててきたがこいつは今までにわがままを言ったことがなかった。まだガキのこいつは感情を自分で操作することに慣れすぎている。
本当の涙を流さない。
本当の笑顔をしない。
本当の気持ちを素直に出さない。
まるでシンの子供の頃を観ているようだ。
シンも遥の同じくらいからだろうか感情をコントロールできるようになった。我慢するようになった。
遥「シン?少し離してくれる?」
深海「嫌だね~。猫が可愛すぎるのが悪いでしょ~に」
遥「よく分からないけどせめて瞬さんたちの方を向かせて?」
渋々と言った様子で遥をこちらへ向けてくれる。
でも腕はお腹に回ったままなうえシンの頭が遥の肩に乗っている。
瞬「はぁ…」
麗「はは…」
溜息をつきこぼす俺と苦笑いをする麗に遥は困ったように笑う。それは儚くこれから遥が言おうとしている事の内容を物語っていた。
遥「僕ね?知ってたんだ…みんなの仕事のこと。BARって情報がよく流れてくる。もちろん"裏"の情報が特にね」
優しい全てを包むような笑顔の遥の紡ぐ言葉。
俺は顔を顰めて下を向くことしかできなかった。麗は困ったような笑を浮かべシンはその腕に力を込めた。
遥「表の仕事はここ黒猫でのバーテンダー。でも裏の顔は名の知れた情報屋"Moonlight"…月の光。3人に初めてあったその日から何でだろうね,どこか知ってるような気がして…お店に来た人が僕に言ったんだ。『よくMoonlightの奴らと一緒にいられるな~俺だったらぜってぇ無理だ』ってね」
誰だそんなこと言ったやつは…。
勝手なことしやがって…。
遥「その名前を聞いた時頭の中で引っかかってたものが取れた感覚だった。まぁみんなが情報屋だろうがなんだろうが悪いけど僕は興味が無いね。だって僕の中でシンはシンだし,瞬さんは瞬さんだし,麗は麗だから…」
その言葉で俺達の身体に入った力と緊張が取れる。
拒絶されることが怖かったんだ。俺たちは裏の世界の住人。そんな俺達が純粋な子どもに近づいていいんだろうか…といつも思っていた。
遥「あのね…僕の"甘え"を聞いてもらってもいいかな?」
首を傾げる遥に俺と麗は頷く。
目尻を下げ不安そうに微笑む遥が震える声で言った。
遥「シン?瞬さん?麗?」
「僕と家族になってください」
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