アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
負けるな2
-
遥「失礼します……あれ?橘先生?」
鍵は開いているのに先生の姿が見当たらない。
職員室かな…。少し待ってみようと思い扉を閉め部屋にある椅子に腰掛ける。
皆に悪いことしちゃったな。
表情を普段から顔に出さない要。そんな要が僕の言葉で僅かに顔を歪めたのを見てしまった。
机にうつ伏せ目を閉じる。
遥「はぁ…どうしよう」
?「ため息なんてついちゃってどうしたの?可愛い顔が台無しだよ?」
奥の方から声が聞こえ慌てて起き上がる。
…今の声は。
遥「居たんなら声くらい掛けて下さいよ…柿原先輩」
優「それはごめんね?声を聞くまで君だって分からなかったんだよ」
遥「…そうですか。柿原先輩は先生がどこに行ったか知ってますか?」
優「橘先生なら職員室に資料を取りに行っただけだからもうすぐ…」
«ガラガラガラ»
日比谷「あのジジィ相変わらず話がなげぇ…」
柿原先輩の言う通り帰ってきた先生はなぜがげっそりとしていた。
日比谷「ん?森山…どうしたんだ,怪我でもしたのか?」
遥「いえ,ただ昨日話した通り開けてほしいんで来ました」
日比谷「はぇーなおい。まぁいいか…保冷剤出すから開けたいところ冷やしとけ」
冷蔵庫から出された保冷剤を投げられる。
柿原先輩は数秒何かを考える素振りをした後「あぁ」と声を出した。
優「ピアス開けるの?」
遥「…以外のですか?」
優「すごく意外だけど似合うと思うよ?」
すごく意外なんだ…。
耳たぶと軟骨の部分がだんだん感覚が無くなる。
遥「先生,耳の感覚が無くなっちゃいました」
日比谷「そうか,じゃあそろそろ開けれるな」
そういい先生は僕が座っていた所のすぐ横に椅子を置く。前のめりになり一気に近ずいた顔。ふわっと香る珈琲と煙草の匂い。
こうしてると熱出した時のことを思い出すな。
あの時はもっと近かったけど…。
日比谷「あんまりこっちに顔向けてっと気がちるんだけど…」
軽く向いていたつもりだったけどバレてた。
ピアッサーの準備が出来たみたいで左耳に手の感触がする。
日比谷「ズレても文句言うなよ」
遥「言いませんよ。……先生」
日比谷「んだよ」
遥「白衣掴んでてもいいですか?」
日比谷/優「…」
遥「2人してなんでそんな豆鉄砲くらった鳩みたいな顔してるんですか」
そんなに驚くこと言った?僕…。結構普通じゃない?だって穴あくんだよ?体の一部に…。
日比谷「いや,なんでもねぇ…。掴みたきゃ勝手に掴めばいい」
優「いや,君がそんなに素直に怖がることもあるんだと思って…」
遥「僕のことなんだと思ってるんですか?僕だって一応まだ生きてる人間なんですけど」
日比谷「ハイハイ,開けるぞー」
その声を合図に耳にピアッサーがあてがわれた。
遥「これってどれくらいしたら安定するんですか?」
日比谷「人によるが早かったら夏休みには安定する」
優「似合ってるよお姫様」
保健室にある手鏡を借りて耳を見る。
そこにある銀色のピアス。やはり今まで何もなかったから違和感がある。
遥「……」
日比谷「どーした。気に入らねぇか?」
遥「いえ,なんでもありません。ありがとうございます先生」
日比谷「どーいたしまして。さっ用が終わったならさっさと帰れガキ共。お前は仕事に戻れ」
優「酷いですよ?ちゃんと仕事はしてます。ただみんなより自分は容量よくできるので休憩時間があっても問題ないんですよ」
日比谷「へー」
柿原先輩ってやっぱり頭いいんだな。
まぁ悪かったら生徒会には入ってないか…。
遥「じゃあ僕はそろそろ帰りますね?」
優「じゃあお供しようかな…失礼します」
«ガラガラ,ピシャ»
日比谷「…あっ,剛からの伝言伝え忘れた。まぁいっか…また今度で」
日比谷は回転椅子の背に深く持たれ今朝剛からの電話のことを思い浮かべていた。
剛『ごめんね日比谷朝早くに…。ちょっと遥くんに伝えといてほしいことがあって。
もっとちゃんと食事をしなさいって言っといてくれない?身長の割に体重が軽すぎる。
きっと高校に入ってからまた一段と減ってる。
このままじゃ必要な栄養が体に回らずいくら薬を飲んだとしても進行が早まってしまう恐れがある…。』
日比谷「進行が早まる…か。はぁ,めんどくせぇ」
そうつぶやきながら柊へと遥の食事のことについて連絡を入れる日比谷であった。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
89 / 222