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かけがえの無い人
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駆け足で過ぎていく毎日に心挫けそうになった時、キミの存在だけが俺を支えてくれていた。
何もしてないよってキミは言うだろうけど、俺にとっては大変な時間。
立ち止まってしまった時にキミが側に居るってだけで、また前に進めるんだ。
次に出すシングルのことで、メンバーと衝突してしまった。
意見を否定されて、でもそれに対して説得する言葉も出なくて...。
一旦お開きとなった会議。
珍しく譲らない俺に、メンバーは驚いていたようだった。
「...どうしたらいいんだろう」
自分自身で探さないといけない答え。
その答えが出てこなくて、悔しくて壁を叩く。
「...名...瀬...?」
洸介の声にハッとして顔を上げた。
仕事を終えた洸介がいつの間にか俺の部屋に来ていた。
ー今日来るって言ってたの忘れてた。
「あ~...ごめん。なんでもない」
眉を寄せて俺を見ているが、何かを察して笑顔になる。
「なら、ええんやけど」
頭を撫でられた。
そのふんわりとした笑顔に癒される。
何も聞かないこと。
それが洸介の優しさだった。
抱きつくと「甘えん坊やな」って言いながらキスをしてくれる。
悩んでるのを察してくれたのか、その後は何も言わずそっと隣に座った。
無言の時間が過ぎていく。
気がつけば、洸介は俺に寄り掛かり眠りについていた。
規則的な寝息。
その微かに聞こえる音が心地よかった。
洸介を寝室に運び、自分も隣に横になる。
まだ考えはまとまらないが、気持ちは穏やかになっていた。
眠る洸介に口付ける。
唇が触れて、温かい気持ちが胸の中に広がっていった。
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