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34時間
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やはり俺が思っていた通りで、もし一週間後に死ぬと過程したところで、何気ない毎日を送るもんなんだな。48になった数字から目をそらして眠ったらあっという間に数字は40をきっていて、学校に向かうだけで36に、授業と休み時間が終わる旅にまた一つ一つとへっていく。
ゼロまでもう少しだ。いったい俺の身になにが起きるってんだろうな。
「武井ちゃん、君、写真すきなのー?」
隣の席の緒方が突然話しかけてきた。緒方も変わった奴で、先生と動揺ヘラヘラと良く笑うから掴めない。あんまり得意じゃないタイプだった、先生と知り合うまでは。こいうい人間は何も考えてなさそうにみえて、めちゃくちゃ考えてる。そして秘密が多い。
「あ、うん。なんで?緒方も写真すきなの?」
「緒方なんて堅苦しい呼び方しなくていいよ、弘ってよんでー?俺っていうかね。俺の恋人がねぇ。すごい不器用でさ。写真一枚マトモに撮れないからいつも俺が代わりに撮ってあげるんだけど、なんかイマイチでねー」
「緒方って良く喋るな」
「だから弘でいいってばー、武井ちゃんも明るくなったね。それもナオちゃんのお陰かな」
「な、っ、…!」
「あはは、俺の恋人も先生なんだよねぇ」
「え!嘘だろ、誰?!」
「ん?嘘だよ?ということはやっぱり武井ちゃんとナオちゃんはそーいう関係なんだねぇ」
「あ、」
「あはは、ダイジョーブ。誰にも言わないよ。」
にっこりと、つり上がった猫のような目が細められた。緒方弘、まじで掴めない。まじでナゾ。独特な雰囲気、大人びた雰囲気、先生と似てるけど、ちょっと違う。
「だからそのカメラの中にある写真、みせてー?」
なんつー策略家なんですかこいつは。本当に同い年か?信じらんねぇ。俺はハァ、とため息をつきながら、カメラを差し出した。すると緒方はまたあははっと笑って、データを見ることもせず俺に突き返してきた。
「?」
「バカ素直だねぇー!そんなんじゃ一瞬でバレちゃうよ、その中身ナオちゃんでいっぱいでしょ。ちゃーんと隠しな、ナオちゃんに迷惑かかんないようにさ」
「…お前なんなの」
「ん?君と似たもの同士かなぁ」
これでわかった。俺は、こういう人間がやっぱり得意じゃない。でも先生は好き、それはやっぱり先生だからなんだよな。
似たもの同士といった緒方の言葉を、俺は聞かなかったことにした。
胸を見ると、胸の数字は34になっていた。
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