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僕と友達。
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翌朝、窓に雨粒の当たる音で目覚める。
制服に着替えながら、昨日の出来事を考える。
まるで夢のような一日だった。
生まれて初めて、友達が出来たのだ。
どう接すれば良いのだろう。
僕は自室を出て、リビングに向かう。
「おはよう。」
今日は自分から挨拶してみる。
「あら! おはよう!」
母はとても嬉しそうに返してくる。
「何か良いことあったの?」
彼女の目は誤魔化せないようだ。
「えっと...学校で......と...友達が出来た......。」
こんなことを言うのは恥ずかしい。
「まぁ まぁ まぁ! 本当に! 良かったわねぇ!
私すごく嬉しいわぁ! 大切にしなさいね!」
母は泣きそうな顔で言ってくる。
恥ずかしくて死んでしまいそうだ。
僕はこの空気から早く逃げたくて、
朝食をいつもの倍の速さで食べる。
「いってらっしゃい。」
「行ってきます。」
玄関の扉を開け、高校に向かう。
「真白〜。 おはよ!」
学校に着くと、後ろから話しかけられる。
振り返って確認してみると、そこには霧咲君がいた。
「.....おはよう.....ございます.....。」
学校で挨拶をするなんて、いつぶりだろう。
「今日から真白と友達だぁ〜!」
ふふふ、と彼は笑いながらそう言う。
「....ご機嫌ですね.....。」
「うん!」
彼は元気よく、返事をする。
「そういえばさ、真白は何で敬語なの?」
毎度のごとく、いきなり質問をしてくる。
何と答えれば良いのだろうか。
「....えっと....癖です.......。」
「へぇ〜、そうなんだ。」
彼は素っ気なく返してくる。
君はどんな答えを求めているんだ。
「じゃぁさ! 俺にはタメ口で話してよ!」
何かを閃いたかのような反応で、提案をしてくる。
そんなのできるはずがない。
「....む...無理です.......そんなこと....。」
「えぇ〜。 でも昨日出来てたじゃん!」
「...えっ..?」
彼は何を言っているんだ。
「僕のなにがわかるんだ〜 って言ってたじゃん!」
一気に顔が青ざめる。
「....っ!....ごめんなさい!昨日は気が動転してて....!」
「良いよ、別に。 真白の本音が聞けたし。」
彼はどこまで優しいのだろうか。
霧咲君と話していると、予鈴が鳴る。
「あっ、 やばっ! 真白! 走ろ!」
「えっ。」
彼に腕を掴まれ、教室へ引っ張られていく。
教室に着くと、クラスメイトの視線が僕たちに向く。
どうやら、
僕が霧咲君と一緒にいることに驚いているようだ。
僕は床に視線を移し、自席へ向かう。
そこでちょうど本鈴が鳴る。
「間に合って良かったね!」
彼は周りの視線が気にならないのか、
楽しそうにそう言う。
「.....そう......ですね......。」
「だから、 俺にはタメ口でしょ!」
まだそんなことを言っているのか。
だが、挑戦する価値はあるだろう。
「....えっと.....そう....だね....。」
うまく言えただろうか。
「うん!」
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