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58 由良の想い
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「駄目だよ、中さん」
もう、遅いけれど。
全てはもう、悲しいくらいに取り返しがつかない。
だけど、中さんには人を傷つけて欲しくない。
これ以上、誰かを傷つける事で自分を傷つけて欲しくない。
中さん、中さん、中さん………ごめんね。
俺が不甲斐ないばっかりに、こんな事になってしまった。
中さんが好きだよ、愛してる。
喧嘩していじけると、涙目のまま俺のあとをどこまでもついて来て、トイレまで追っかけてくるんだもん、本当に可愛い。
中さん、中さんは何も悪くないよ。
俺が止めてあげれば良かったのに、実際、何度も止めようと思ったんだ………なのに、ごめん。
その度に、あの火傷の痕が頭に浮かんで。
幼い自分の過ちを振り切ることが出来なかった。
ねぇ、だから………中さん。
中さんは、間違わないで。
もう、遅いけれど。
人を、傷つけないで。
あぁ、なんだかもう………疲れちゃった。
さようなら、中さん。
愛してる、ずっと………愛してた。
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