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「信じられないというのも分かります。冗談だと思ってしまう気持ちも。ですが、からかうつもりも無ければ、脅すつもりもありません。…本当のことです」
「…何を、言っているんですか。あなたは」
「何を信じたら良いのか分からない、……以前、先生はそのように言っていましたね」
「っ…」
日高先生は再び驚いたように目を見開く。…これはただの俺の自己満足なのだろう。伊織も、俺に何か行動を起こして欲しいと思っている訳では無い。それでも俺は、
「お願いします。俺の話を聞いてくれませんか」
「……、」
ーーーーーーーーー
「…そうですか。伊織が、そう言ったんですね」
「はい。今はただ自分の事を忘れてほしいだけとも」
「…ですが、私は」
「俺は、その言葉は伊織の本心ではないように思えるんです」
「そう、ですね。私もそうだと思います。…今でも夢に見るんです、最後に見た伊織の顔を。忘れる筈がない。忘れて良い筈が…全て私のせいなんですから」
伊織から聞いた話を幾つか話すと、日高先生は苦しそうに目を伏せる。そういえば伊織も同じような事を言っていたな。日高先生は、伊織が死んだ事を自分のせいだと思っていると。
「伊織が笑えなくなったのは、私のせいなのに。私は、最後の最後まで…」
日高先生は泣いているのだろうか、と見間違うほどに歪ませた顔を手で抑える。…話したはいいが、今後どうするべきか。何も考えずに行動してしまう事が俺の駄目な所だ。やはり、二人で話すのが一番良いのだが、それも無理だしなぁ。
…いや、待て。もしかしたら、無理ではないかもしれない。
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