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お見舞い(普)
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17時だ。
司はもう家に帰ったかな。
…淋しいなぁ。
やっぱり俺は、司がいないと淋しかった。
お昼ご飯も病院食を部屋で食べた。カーテンは閉め切ったままで食べた。1人で食べた。6人部屋だけど、他の入院患者とは口をきいていない。俺は、司以外の誰と話してもあまり楽しくないのだ。いつも司の事を考えてしまう。
ガララ、と、病室の戸が開いた。誰かの身内が見舞いにでも来たのだろう。
司も俺のお見舞いとか来てくれないカナ…
入院して次の日にそんな事思うのもおかしいかもしれないけれど、俺は毎日司のお陰で生きて来たようなものだから、1日でも司に会えないと淋しくなってしまうようだ。
靴音が聞こえる。だんだんとこっちに近づいてきた。
ん?確か隣に患者はいなかったハズ…
もしかして…
俺は期待を胸に膨らませていた。
すると、カーテンが少しだけ開いて、期待通り、俺の大好きな司が顔を覗かせていた。
「普!お見舞いに来たよ!」
司は、少し小さめの、明るい声で言った。
会えなかったのはつい昨日からなのに、なんだか何年も前から会っていなかったような気がした。それだけ愛おしかった。
俺は思わず司に抱きついた。
「わ、普どうしたの?俺がいなくて淋しかった?大丈夫だよ、今俺ここにいるよ。」
俺は無性に司が愛おしかった。
しばらくすると、司は何か思い出したように、学生鞄の中をまさぐった。そして司の学生鞄から出てきたのは、小さなメモ帳と2本の鉛筆だった。
「あのね、今日メモ帳と鉛筆持ってきたんだ!普喋ると痛いでしょ?だから筆談しよ!」
なんだか楽しそうだ、と思い、俺は少し微笑んで、首を縦に振った。
それから司といくらか筆談した。
帰り際に司は俺の事を1回優しく抱きしめてくれた。
なんか俺が怪我してから凄く優しいな。
でも、少し気にかかる事があった。
帰り際に、「怪我が治ったら、訊きたい事があるんだ。」と言っていた事。
まぁ、とにかく怪我を早く治そう。
話はそれからだ。
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