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声楽部 3
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な、な、なにこの人!?!?
「君、最近ずっと歌の練習してるよね?」
扉を閉めて、俺に向かってゆっくり歩いてくる。
「ぁ…あなは誰ですか……」
「あぁ、俺は早乙女伊澄、2年生だよ。それにしても大丈夫?手震えてるけど」
早乙女伊澄と名乗った男は、くすくすと笑いながら俺のすぐ隣にきて俺の手を掴んだ。
どうしよう!早く手を振り払わなきゃ……!!
何故か本能的にそう思った。
「あの…手離してくださぃ……」
喉から絞り出した声は予想より震えていて、頑張って振り払おうとしても、手が震えて上手く力が出せない。いつもそうだ、自分の歌を指摘されるとどうしても怖くて震えが止まらなくなる。
「もしかして、振りほどこうとしてる?力入ってないよ?それにこんな細い腕……少し力入れたらすぐに折れちゃいそう…」
早乙女がぐっと力を入れる。すると左腕に激痛が走った。
「や、やめて下さい!!」
怖くて思いっ切り腕を振った。それなのに全然手は振りほどけない。
「離して!!痛い!!」
何度か腕を振ると、左腕から早乙女の手が離れた。
「はっ、はっ……」
強く掴まれた跡を右手で押さえて呼吸を無理やり整える。
「ごめんね…?強く掴みすぎちゃったみたい…痛いよね」
早乙女が急に悲しい声を出した。それに俺は凄く驚いた。
「左腕、手当しよう?先生達に頼めば保健室開けてもらえるし…ね?」
早乙女の手がすっと俺の方に向かって伸びて来る。
怖い。
俺はまた怖くなって、左腕を後ろに隠した。
「い、いいです!大丈夫ですから…もう帰ります……!」
スクールバッグを掴みそのまま部室を急いで出る。そして全力でエントランスまで走った。
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