アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
不安
-
お風呂に入って身体を洗い、湯船に浸かる。湯船は丁度いい温度でとても気持ちいい。
不安でどうにかなりそうだったが、この時間だけはそんなものどうでもよくなった。
「ふぁあ…」
温かなものに包まれて自然と少し間抜けな声が出る。
流石に眠い。今日は校内をかなり歩いたし、足痛いし、るりに振り回されて疲れた。
今日は早く寝よう。と心に決める。
いつもより少し長めに湯船に浸かり、温かくなった身体を拭いて下着を履き、湯冷めしないように早くパジャマを着る。
パジャマを着たら次はるりにお風呂を上がったことを報告しに行く。
「るり姉ちゃーん。お風呂いいよー」
リビングを見るとテーブルに置いてあったお酒たちは既に空に。
ソファーに目をやるとおつまみを食べて楽しそうに談笑しているるりとクロードが居た。
「お、じゃあ私も入ろっかな」
上機嫌にお風呂に入る準備をしているるりは、まるでお酒を一滴も呑んでいないよう。
これでウィスキーと缶ビールを呑んでいるんだ。顔色も足取りも素面の時と全然変わらない。変わったと言えばルンルンで上機嫌なだけくらい。
母が外国人で俺達はハーフだといえ、ここまで呑んで酔わないのは本当に凄いと思う。
るりは準備が終わったのか荷物を持って、リビングの入口に立っていた俺の方に歩いてくる。そして俺の右足首を心配そうに見る。
「足…大丈夫なの?」
「大丈夫だよ、痛いけど歩けないほどじゃない」
「そう?何かあったら絶対に言いなさいよ。わかった?」
「うん。わかった」
俺の言葉を聞いてるりは少し安心したのか、また上機嫌でお風呂場へ向かう。
俺はリビングに入り冷蔵庫からお茶を出そうとしているとクロードが隣に来て優しく呟く。
「ルリハ、ヒバリノコト……トッテモシンパイ…ダカラムリシナイデ…ネ?」
突然の言葉で驚いたが、るりだけでなくクロードも心配している表情ですぐさま感謝を伝える。
「…クロード………うん…ありがとう」
クロードの優しい呟きに嬉しくて涙が溢れ出てくる。辛うじて涙は零れないものの、瞬きをすれば零れ落ちてしまう。
「フフッ、ヒバリ。ナキタイトキハ……ナクノガイチバンデス」
「う…ん…」
クロードに言われ、1度だけ瞬きをする。そうすればこれでもかというくらいに涙が零れる。
パジャマの袖で涙を拭うと俺はクロードに笑いかけた。クロードも俺に笑ってくれてホッとする。
クロードにお礼を言って2階に上がって明日の学校の準備と、寝る準備をしてベッドに寝転がる。
「ふぁあ…………ねっむい………」
髪は少し濡れていたけどそれも気にならないくらい眠い。
「もう寝るかぁ………おやすみ、リリー」
枕元に置いてある大きな熊のぬいぐるみのリリーに"おやすみ”と伝え、重くなった瞼を閉じる。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
28 / 61