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7.密の夢
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まず、咲也達を呼びにいづみは205号室へ向かった。
レッスン室を覗いて中にいる人達に声をかけ、1階の春秋組の各部屋を回って、2階へ行った。2階は第2レッスン室を回って、夏冬組の各部屋を回って最後に密のいる205号室へ行く。
休日だけあり、各々レッスン室で練習したり中庭やバルコニーにいたり、プチ談話スペースで談笑したりと結構バラバラだった。
「まだみんなと会ってからそんなに経ってないんだなぁ...」
といづみは最近ずっと思っている。
皆成長がとても早くて、とっても上手で自分には出来なかった事が出来て、正直凄く羨ましいと感じ嫉妬心を抱いている中、こんなに凄い才能に溢れる子達の中に自分がいて、必要とされて、成長を見守れるなんて。こんなに幸せな事はないといづみは思っている。
そんなこんな考えているうちに、205号室に着いた。
-コンコン
「はーい。どうぞー」
中から咲也の声がした。
-ガチャ
「失礼するね〜。密さんの調子どう??」
「相変わらずですね...」
「でも状態が悪化しねぇだけましだろ」
「そうだね...。あ、もうご飯の時間だからご飯取りにおいでって言ってたよ」
「あ!もうそんな時間なんですね!ありがとうございます」
「咲也ちょい待ち。俺と真澄で飯取り入ってくるから、咲也は監督に看病してた時の様子を報告しててくれ」
「やだ。俺が監督に報告する」
「てめぇはいいからさっさと行くぞ」
真澄は万里に引っ張られながら2人は昼食を取りに行った。密の事を報告するのは咲也が1番適してると万里が判断したのだろう。
口調が強かったり興味なさげにしているが、万里はちゃんと相手の事を考えている。根はとても優しい。
「あの...監督」
「ん?」
「密さんうなされながら泣いてたんです。知らない人の名前を呼びながら」
「知らない人??」
「えと...確か、オーガストとエイプリルって。8月と4月の事ですよね...。」
「...」
いづみはあることを思い出した。
第1回公演の時に密が中庭で寝て体調を崩してしまった時のことを。
夜寝るまでは誉と部屋にいたらしい密が、起きたらいなくなっていた。みんなであちこち探したけど何処にもいなくて、冬組の4人が外に探しに行って、いづみは密が帰ってきた時のために寮で待機していた。
公演まであと2時間しかなくなった時、もしかしたら開かずの間に閉じ込められているかもしれないといづみが探しに行ったらいた。
とりあえず、密に薬を飲ませて具合をみていたら密が「弱った時は潜んで体力の回復を待つように教えられた」と言った。「ここには密さんを傷つける人はいないから、潜まなくても大丈夫。安心して休んで。」といづみが言ったら「......うん」と返事をしてくれた。
少し体の力が抜けて寝てくれるのかなって思っていたら密は月を見ていた。
”全部、思い出した。オレは許されないことをした。オレは、キミを......。”
”『オーガスト』......ごめんなさい。”
密はそう言って寝てしまった。そのあとは冬組の4人が見つけてくれてなんとかなった。
あのあといづみが密に記憶のことを聞いたときは、忘れたと言っていた。
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