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春 -6-
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安原はそう大して気にはしていないようだが、滝川がそうはいかなかった。本当に申し訳ないと何度も頭を下げる。
というのも、彼が今日安原少年を呼び出したのは彼の合格祝いをするためだったのだ。自分から企画・提案しておいて、約束の日に遅れてくるんじゃあ大人としてとか年上としてとかというより、人としてどうしても情けなく思ってしまう。
あまり安原には見られないように、けれどそっと下唇を噛む。自分の彼に対するお祝いの気持ちが、まるで嘘のように思えても不思議でない現状に嫌気が差していた。
「それで、今日はどこへ連れていってくれるんですか?」
にこにこ笑顔で安原が問う。その言葉に滝川は、ほっとした顔を上げた。
「よっし、今日はお兄さんのオゴリだぞ。どんと甘えてらっしゃい」
「おっ、それは頼もしい!よ、年上の余裕!」
「それ、ちょっと馬鹿にしてないか……?」
どんなときも遊び心を忘れない彼ら。といっても、一方的に安原が滝川をおちょくっているようにも見えるが、二人で馬鹿笑いをしながらその日は出掛けていった。
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