アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
夏 -9-
-
調査中は走り回っていたりベースの留守番をしたり交代で仮眠をとったりして、ゆっくりしている暇はあまりなかった。
それは、外で調査をしている安原も始終除霊に当たる滝川も同じことで、結局最中に共に言葉を交わすのは調査報告程度のものだった。
「……よくここまで調べられたな」
「まあ、これで欲しい情報は大体揃っているでしょう?僕ひとりで手に入れたわけでもないですしね」
その日の夜、資料をごっそり持って帰ってきた安原に滝川は少し(かなり)感動していた。
簡単に事情を説明し調査を頼んでいたにもかかわらず、たった一日で安原は欲しい情報のほとんどを手に入れていた。
安原はまず、寺の過去帳を漁りだいたいのものをコピーした。そこから金沢の図書館まで赴いてまたそこでさまざまな資料を手に入れたのだ。
────その辺にいた暇そうな学生の女の子を数人捕まえて。コピー要員として雇ったのだ。
頭が切れて口が上手い安原。
どこにいても彼のその能力は廃れることはなかった。
「てなわけで、このバイト代は『渋谷サイキックリサーチ』から出ますよね」
「出しましょう」
普段無口で愛想のないリンも、こればっかりには苦笑を浮かべた。
その場にいた誰をも圧倒させたのだ。
それからしばらくした頃のこと。
今度はその全員が息を飲むことになった。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
17 / 24