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5年前、母親が亡くなった。優しい人だった。父親は感情を表に出す人で、機嫌が悪いとよく怒鳴ったり、物に当たったりしていて、幼心に父親に対して恐怖心を抱いていた。母を怒鳴りつける父親があまり好きではなかった。しかし、母はよく言った。「お父さんは、寂しい人なのよ。お母さんに、もっと蓮を守れる力があったら…蓮、ごめんね。」と。謝られるのは嫌だった。自分は母を責めたいわけじゃない。だから、いつも、「僕は大丈夫だよ。」と返していた。涙目でそう言う蓮を見ると、決まって母親は蓮を強く抱きしめた。母親との思い出は、どれも暖かくて優しくて、蓮の心を満たすものだった。蓮にとって大好きな母親は、蓮を遺して事故であっけなく死んだ。直後は信じられなかったが、葬式が終わると寂しさと悲しさ、大切な人を失った喪失感で涙が止まらなかった。葬儀や手続きを終えた父親は、しばらく蓮を空気のように扱っていたが、1年を過ぎたある晩、蓮を部屋に呼んで初めて犯した。もともと暴力的な人だったから、はじめは行われている行為が性行為であることを知らず、怒鳴ったり、物にあたったりする今までの父親の行為の対象が自分になっただけだと思った。
大丈夫、大丈夫と母親の遺影に向かって呟くが、返事はいつまで待っても帰ってこない。5年経った今、いつの間にか遺影は父親が処分し、母親の写真は一枚も残っていなかった。話しかけることをやめ、ただ思い出の中の母親に縋り付いた。
「こいつ、意識ある?」
遠くでうっすらと声が聞こえるが、何も考えることはできずに暗闇の中に1人いた。
「おい、起きろよ。まだ終わってない。もう1周はいけるよな。」
「…ぁああっ!ひ、ゃ、っ」
ペニスを強く握られて、痛みで今度こそ覚醒する。身体が限界を迎えていた。涙も精液も枯れ、喉が異様に渇くが誰も水を用意してくれる人はいない。身体は細かく痙攣し、目の焦点はとっくに定まっていなかった。
「こいつ、ヤバいんじゃね?」
「…ちっ、使えねーな。ほら、風呂場行くぞ。今日はもう終わりだ。」
父親がそう言うと、男たちは不満そうに帰って行った。静かになった室内で、父親が軽蔑の目を蓮に向ける。
「汚いな。自分で立てよ。」
半分意識がない状態で、朦朧としながらも、「汚い」という言葉は耳にしっかり届く。枯れたと思った涙が滲んできて、我慢しきれずに俯きながら涙を流すが、そんな蓮の姿を見た父親は舌打ちをすると部屋を出て行った。
今は午前2時半。男たちは休憩をはさみながらも、それだけの時間、蓮をまわし続けたのだ。休憩と言っても、蓮には玩具を使って絶え間なく衝撃を与え続けていた。朝になれば学校に行き、勉強をして時々智樹と笑い合う。放課後は光希と会って夜桜を見る。たったそれだけのことが、今の蓮の安心できることの全てだ。だがそれが、今はできる気がしない。蓮は後処理もできずに横たわり、図書館で見た夜桜を思い出しながら一筋の涙を流していた。落ちた花びらは元に戻らない。しかし、桜は人に必要とされ、落ちた花びらさえも美しいと褒め称えられる。蓮は、自分の存在価値を見失い、落ち続けて踏み潰される自分を想像した。
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