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どんなに遅く寝ても、毎朝同じ時間に起きる習慣は変わらない。蓮は、起きたものの全身の痛みと、精液が乾き皮膚が引きつるような感覚によって動けなかった。昨日の昼から、何も飲食していない。喉が渇く。結局昨日は処理もできずに意識を失った。起きて早々絶望感が襲い、放心状態で壁を見つめる。部屋に父親はいない。物音もしないから、今日は早く家を出たのだろうか。
「みず、のみたい。」
ガラガラの声で独り言を言ったあと、視界の隅に水の入ったペットボトルを見つけた。父親が情けをかけて置いて行ってくれたのだろう。結局は、頼らないと生きていけない。自嘲しながら、何とか身体を起き上がらせてペットボトルを手に取った。力が入らず、5分かけてやっと蓋を開けて飲む。
喉の渇きが収まると、今度は空腹に気付く。何か食べなければと思うが、まずは精液まみれになった身体をどうにかするのが先だと考え、自室からお風呂場に行くために痛みに耐えながら10分かけて歩く。お風呂場では、汚い汚いと呟きながら夢中で身体を擦っていたら、1時間も経ってしまっていた。
「あ、学校…。」
家に居たくないから、どうにか学校に行きたかったが、今からお風呂を上がって支度してパンを食べてから行くとなると遅刻してしまう。そもそも、駅まで歩くのにどれだけ時間がかかるかわからない。学校は断念し、担任に欠席の連絡を入れた。
買いだめしている、消費期限の切れた食パンを一枚かじっていると、携帯のメッセージが届く。
『蓮、おはよう。今日休むんだってな。風邪?気をつけろよ。お大事に。何かして欲しいことあったら言って。』
智樹からだった。智樹は本当に優しい。4人兄弟の長男だと聞いた。世話焼きなのだろう。こんな自分に、こんな素晴らしい友だちがいることが信じられない。バチが当たりそうで怖くなる。
『大丈夫だよ。ちょっと風邪ひいた。ありがとう。』
そう返すとスマホを置き、残りのパンを食べる。嘘ばかりの自分が嫌になる。風邪なんかじゃない。自分は、昨日、実の父親や父親が呼んだ男たちに犯され、感じて、何度も絶頂してしまった。そのせいで動けないだけだ。滲んだ涙を押し込むようにパンを口に詰めた。自分は、こんな、誰かに心配してもらう価値もない、最低の人間だ。そう思うことしかできない。食べ終わると、蓮は自分の強く痛む心を無視するように放心状態で何もない空間を見つけ続けた。
家にいる間、何もすることがなかったからベッドの上で身体を休めた。今日はもう図書館にも行けない。光希は自分を待っているだろうか。待っているはずがない。卑屈になる自分が嫌になるが、それほど自己肯定感が失われていた。
「…みつき、くん。」
ボソッと口から出た言葉は、聞こえるか聞こえないか分からないくらい小さな音だった。こんな酷い状況の中で、何故彼のことが頭に思い浮かぶのか。今の蓮には全く分からないが、彼のことを考えると少し心が温かくなった。
その日の夜は、さすがに行為はなかった。昨日、自分のせいで中途半端に終わったから、今日ももしかしたら男たちを連れてくるかもしれないと思ったが、杞憂に終わった。父親が家にいるのに何もしてこない日は珍しい。晩酌後、すぐに書斎に行ったため、蓮も残り物のご飯を食べた後自室に篭った。今日遅れた分の学習範囲を、なるべく取り戻さないといけない。今日1日休んだからか、身体の痛みも大分良くなってきてる。勉強机に向かい、今日習うはずだった教科書のページを開き、勉強を始めた。
勉強を始めたものの、あまり進まない。倍率の高い高校に入学できたのだから、蓮の学力は良い方であったが、もともと勉強はあまり好きではなかった。ただ、経済的に自立すればいつでも出て行ける。その後は父親に頼ることなく生きていくことができる。そう思ってからは、苦手だった勉強を必死に頑張った。結局父親に強制的に決められた高校は北高校だったが、学力的には中の上であるため、ここで頑張れば良い大学に行けると思っていた。父親は、まあまあ名の知れた企業に勤めている。管理職にも就き、経済的に困ることはないが、蓮を人に貸すうえで、どうせなら金を取ろうと考え援助交際を強制していた。自分の汚い身体を使って得た金で大学行きたいのか、と軽蔑を込めて聞かれたことがある。蓮は、屈辱に耐えながらも、頷いた。
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