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過去編1
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ーー俺の父親は紅城(アカギ)財閥の社長だった。
仕事ばかりしている父親で殆ど家にいなかった。
俺の思い出の中に父親の存在はまったくなくてあの人は俺に全く関心がなかった。
母親は優しく温和な人でいつもにこにこしてた。
母はメイドだって執事だっていたのに毎日ご飯を作って少しかわったおっちょこちょいな人だった。
俺はそんな母がとても好きだった。
俺には兄貴もいてかっこよくて頭もよくて、泣き虫だった俺をいつも守ってくれて俺のヒーローだった。
兄貴は長男だから紅城財閥の跡取りだった。
兄貴は父から立派な跡取りになるためにいろんな稽古や習い事をさせられていた。
そんな期待を受けながら兄貴は嫌な顔一つせず笑って父の言うことをきいて全てを完璧にこなしていた。
テストだって全て満点成績も全てAそれが兄貴の当たり前であり父が求めるものだった。
俺は兄貴みたいに期待なんてされてなくて父に見て欲しくて頑張って必死に勉強した。
俺は苦手だった数学で98点を取って父に見て欲しくて見せに行った。
だけど…返ってきた第一声はため息だった…
「何故満点じゃない。何故こんなことも完璧出来ない。私は完璧を求めているんだ。未完成品は要らない。」
ビリッ、ビリッ、ビー
「おと、さ…」
「秀、この前の試合に負けたそうだな。準優勝なんてそんな恥ずかし名をもらってくるな。敗北だなんて言葉は要らない。勝者が全てだ。完璧じゃないものなんて只のガラクタだ。こんなもの見せるくらいなら勉強しろ。
自分の部屋に戻れ。」
「…は、いっ…」
俺は部屋に戻って枕に顔を埋めて声を押し殺して泣いた。
それを見た兄貴が俺を慰めてくれた。
「秀、泣かないで。父さんに何か言われたんだね?」
「ひっ、うう…僕はガラクタだってっ…駄目な子だってっ…」
「秀は駄目な子なんかじゃないよ。秀は頑張り屋さんでお兄ちゃんの自慢の可愛い弟だよ。だから泣かないで?」
兄貴は俺の心の支えだった。
でもそんな俺よりも兄貴の方がずっと苦しんでた…
自ら命を経とうとしてしまうくらい。
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