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「 桜木っ、大丈夫か!? 俺のこと分かるか!?」
慌てたような、怯えたような、そんな切羽詰まった声。
目を細めて、ぼやける視界に映る白石君の顔を見つめ返したら、目があった瞬間に何故だか気持ちがほっとした。
「 .......だい、じょうぶ、ちゃんと.....わかる、よ。」
まだ頭が痛いし呼吸も整ってないけど、なんとか声を絞り出してそう言うと、白石君はちょっとだけ安心したように眉を下げて溜息をついた。
「 もう大丈夫だからな、先生に言って救急車呼んでもらうから。.......あ、先に保健室のが良いかな。」
先生を呼んでくるから少し待ってろ、と言われて白石君が立ち上がった時、心臓が嫌な音を立てて鳴った。
救急車.......?
.......ダメだ、絶対。
先生になんて伝えられたら、
救急車なんて呼ばれたら、
病院に行くなんてなったら、
もし騒ぎになって親なんて呼ばれたら.......。
ありえない。
一瞬で色々な事を想像してしまい、もう出し切ったと思った汗がまた出てきた。
めんどくさがられるような顔で見られ、
「 自己管理も出来ないなんて...... 」
とか言われて煩わしく思われるのがオチだ。
そこでもまたお得意の、千里との比較を始めるに決まってる。
体が辛いのにそのうえ精神的ダメージまでくらったら、なんかもう色々としんどい。
それだけはやめて欲しい。
マジで。
立ち去ろうとする白石君のジャージの裾をガシッと掴み、引きとめた。
身体に力が入らないから、こういう行動は物凄く体力を消費するのだけど、今はしょうがない。
なんとしてでも、先生に伝えられるのだけは避けなければ。
「 ま、まって....行かないでっ....... 」
急に足を引っ張られて驚いたのか、白石君は少し前のめりに
つんのめった後ギョッとしたように振り返った。
「 何やってんだよ、先生呼んでくるからここで待ってろって!早く身体冷やさないといけないんだから。」
「 だからっ.......、せんせ、呼ばないで....... 」
「 はぁ........? 手ぇ、離せって。」
「 お願い、だからっ.......大丈夫だ、から..... 」
そこまで言ってどっと疲れがきた。
白石君の足首をぎゅっと握り、動けないようにしたつもりが、
弱っている俺の握力なんてほぼゼロに等しい。
「 .......すぐ戻ってくるから。」
「 そういう.......問題じゃ、なっ....... 」
白石君は、俺が一人になるのを怖がってると思ってるのだろうか。心配そうに見下ろしてくる。
.......でも違う。
別に1人になるのが怖いとかじゃない。
騒ぎにしたくないだけなのだ。
なんで分かってくれないんだよ。
.......あぁ、もうむり。疲れた。
全身の体力を使い切った感じ。
なんにもしたくなくなって、白石君の足を掴んでいた手の力を緩めたら、途端に体の力が抜けてその場にぺたんとうつ伏せになった。
「 お、おいっ、桜木!? 」
なんか呼ばれてる.......
なんも聞こえねぇや。
この数時間で、1年分くらいの汗をかいた気がする。
とりあえず出られて良かった.......
あぁ、眠い、
すごい眠たくなってきた。
真上で叫ぶ白石君の声がだんだんと遠くなっていった。
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