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職員室での用事を済ませたあと、白石くんに合流するためにグラウンドに足を運んだ。
放課後は部活動の生徒の活動が盛んになる。
そこら中にジャージやゼッケンを身につけた生徒たちが目にとまり、場違い感に肩身を狭くしながらそそくさとグラウンドの端を通り抜けていく。
砂埃と日差しを浴びながら少し歩くと陸上部っぽい青いジャージを身につけた集団を発見し、遠くから見つめた。
ひときわ背の高い男子生徒を発見して目を細めると案の定白石くんだった。
ほっとして近くまで寄ると、向こうもこちらに気づいたようで小走りに駆け寄ってくる。
「 よかった、なかなか来ないからすっぽかして帰ったのかと思った」
「 そうしようかとも思ったから感謝してね」
「 はは、つめてーの」
荷物はあっちに置いといて、とカバンが並べられているベンチを指差されたので、言う通りにして一番端にカバンを置きに行った。
「放課後にグラウンド来たの久しぶりだ…」
「 へー、俺らはほぼ毎日部活で来てるからなぁ」
白石くんがシューズを履き変えた後、その場にしゃがんで器用に靴紐を結んでいく。慣れた手つきだ。
綺麗な長い指先が紐に絡められていくさまに不思議と目が惹きつけられて思わずじっと見つめていたら、それに気づいた彼は「恥ずかしい」と呟いて苦笑した。
すっかり忘れていたけど俺と彼はさっきキスをしたんだった。キスと呼んでいいか分からないほど雑で乱暴なものだったけれど、気持ちを浮つかせるには十分なアクションだった。
なんだかこちらも恥ずかしくなって目を逸らしてしまう。
どんな表情をしたらいいかわからない。
誤魔化すように白石くんに問いかけた。
「 ところで、俺なにも聞かされてないんだけどなんでグラウンドなの?もしかして俺また走らされたりする?」
「 いや、今日はそうじゃない……んーっと…」
今日は……?
後日があるのか。
というか急に白石くん黙ったけどそんなに言いにくいことなのかな。
なにかを隠すように決まりの悪い顔をしている白石くんは、なんとなくそわそわしてて怪しい。
「 なーーーに 」
わざと白石くんの視界に入るように体を倒して目を合わせてやった。
それなのに彼はほんの少し顔を赤くしたかと思ったらパッと目線をそらして頭を乱暴に掻いた。
「 もうすぐ分かるからそれまで待ってな」
「 いやなんで上から目線 」
「 まっててください」
「 ……敬語にすればいいってもんじゃ、、」
言いかけたけど途中で喋るのをやめた。
実際まんまとここまで来てしまったのだ。これ以上何を言っても無駄だろう。
せっかく時間と労力を消費してまで来たのだからこの際最後まで付き合ってやるか、とため息をついた。
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