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日常
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「ウィンドトルネード!」
厳しい視線が突き刺さる中、両手を前に出し緊張気味に詠唱する。
手のひらから最初は小さな風が生まれ、徐々にそれは大きくなる。
髪や服が乱れ、次に周囲の草木が揺れ始める。
風は大きく穏やかな竜巻を起こしていた。
まだまだだ。
もっと力強い竜巻をイメージし手に込める力を増やす。
しかし、竜巻は穏やかな風を維持したまま範囲だけがどんどんと広がっていく。
離れた所で木の手入れを行っている庭師が気持ちよさそうに風を仰ぐ。
「すげぇ、こんなに大きな風を出すなんて・・・」
周囲で様子を見ていた一人がボソリと呟いた。
こんな風じゃダメだ。また怒られる。
更に力を込めようと踏ん張った時、冷たい声がかかる。
「そこまで、もうよろしいです。」
その声に込めていた力が抜ける。
それに比例し周囲の草木を揺らしていた風も消える。
「今日はここまでにしましょうルイスト王子。このような風では何もできません。」
先生の声が響く。
今日も先生の望む魔法を出せずに終わった。
「あ、あの、僕っ」
「さあ、お終いです。私の生徒は王子あなた一人ではありませんからね。」
僕の言葉を遮るように言った先生は手をパンパン叩き、そそくさと荷物を纏めるとその場を後にした。
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