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さて、理事長に挨拶を済ませないと。
コンコンコン、
「転校してきました、夜伽暁月です。」
ーガチャ
「お待ちしておりました。どうぞお入り下さい」
扉を開けて出てきたのは眼鏡をかけた男性だった。
「やほ〜待ってたよー暁月くん」
「おひさしぶりです。桜庭さん」
正面の立派な机の向こう側に座る金髪蒼眼の彼は父の同級生だった桜庭夏希さん。
この学園の理事長だ。
学生時代この学園で生徒会会計を務めていた桜庭さんは当時の見た目からチャラ男だとよく勘違いされていたらしい。昔よりはマシになったと父から聞いていたが口調のせいかまだ少しチャラく感じる。
父いわくただののんびり屋なだけだというけど、、、
「君のお父さんから話は聞いてるよ〜
この学園では、『暁月くん』自身が自分らしく生活してね〜。はい飴ちゃん!」
そう言って渡されたのは可愛らしい包み紙に包まれた苺みるくの飴玉だった。
そっか、この人は知ってるのか。
俺が今までどう生きてきたのかを。
ただ嬉しかった。
そんなふうに父以外から言われたのは初めてだったから。
瞳から水がこぼれないよう目を瞑り天井を仰ぐ。
大きく息を吸って静かに吐いた。
吐息は少し震えていた気がするけれど、再度開いた瞳から水がこぼれることは無かった。
「ありがとうございます。桜庭さん。」
桜庭さんの言葉に少し救われた俺がそこにいた。
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