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†
西谷雅也はスマートフォンのアラーム音で目を覚ました。早朝6時。いつも通りの時間。
朝起きるといつも隣で寝ている男は、いなかった。布団の中には自分1人。
昨日別れを切り出してから、宗馬は深夜になって外に出て行き、それから戻っていない。深夜に彼が散歩に行くことはよくあったが、自分が朝になって目を覚ます頃にはいつも戻っていた。
きっと彼はもう戻ってこない。どこに行ったかは分からないが、雅也は確信していた。別れを切り出したのは自分なのだから彼を責めることはできないだろう。むしろ何も聞かず去ってくれた彼に感謝すべきだ。
しかし何もかもを残して行くなんて。部屋中彼のものだらけだ。
情緒不安定な男だった。辛そうに生きている男だった。それでも確かに、彼を愛していた。何もかもが正反対な彼に惹かれていた。少しは別れを嫌がってくれるかと思ったがそんなことはなかった。
朝日が昇る窓の外。そこに1匹、真っ白い蝶が飛んでいた。雅也の視線はそれに吸い寄せられる。何故かその美しい蝶から目が離せなくなる。
ヒラヒラ。ヒラヒラ。白い蝶はこちらに入りたそうに暫く舞った後、そこから離れて暁の光の中に消えてしまった。
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