アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
6.
-
「ああ疲れた。」
お互いにため息をついた。給料は少し引かれるが、お互いに死は免れた。
「...まさかお前があそこで『俺が責任取ります!』とか言うと思わなかった」
「ああ?んだよ。言っちゃ悪いかよ」
「いや。正直嬉しかった。てか、なんで俺を庇ったんだ??」
「ん、あぁ...数日前風の噂で、お前に弟がいるって聞いて...」
「ふーん。(きっとサコさんだろうな)」
「あーもう!!まじでガラでもねぇことしたわ」
「でも...本当にありがとな。」
「...!」
その瞬間ルチアーノはボンッと音が聞こえそうなくらいに顔が真っ赤になった。
「ん、どうしたルチアーノ?顔が赤いぞ?」
「おま、お前何いきなり笑ってんだよ!反則だろ!」
「あ?笑ったつもりはないが...」
「そういう笑うじゃねぇ!微笑む感じの笑うだ、ばか!」
「ああ、そういう笑うか。...てか、俺が笑うと何かまずいのか?」
「はぁ!?お前普段鏡見てんのかよ?」
「ん?髪型セットする時に見るが...なんでだ?」
「だっ、だってお前普段むすっとしてんのに、いきなり笑ったらドキってす――なんでもねぇ…」
「ああ?何なんだ今日のお前?」
「あーもう!気にすんなよ!!」
「...?」
「...早く部屋戻って休もうぜ」
「ん?ああ、そうだな」
そう言ってルチアーノはランスキーの先を歩いていた。
(なにか、ルチアーノに伝えてないことが...)
ふとランスキーはルチアーノに伝えてないことを思い出し、歩を止めルチアーノに声をかけた。
「あ、ちょっと待て!」
「んだよ?何かまだあんのかよ」
「明日のことなんだが...」
「明日?ああ、さっきの話か」
先程カポネの部屋での出来事。
サコが余計なことを言ったことに対しカポネは、「いつもあれほど言っているだろう!」とあーだこーだくどくど説教をしていた。ランスキーとルチアーノはとりあえず、カポネが説教を終えるまで待つことにした。カポネから帰っていいと言われるまでは部屋を出れないからだ。
カポネが説教の途中で何かを思い出したらしく、説教を中断した。
「そういえば、ランスキー。」
「はい。」
「明日病院の方は大丈夫だそうだ。」
「ほ、本当ですか!!ありがとうございます」
ランスキーはカポネに深々と頭をさげた。
ルチアーノは全く状況が読めなかったが、ランスキーの声音で何かいい事があったのだろうと理解した。
そして「明日早いだろうからもう帰っていいぞ」と言われ、2人は部屋を出た。
そして今に至る。
「ああ。そうだ。朝6時にお前の部屋に迎えにいくから、それまでに出る準備しといてくれ」
「はぁ?なんで」
「弟の見舞いに行くんだ」
「ふーん。わかった。」
「じゃあ、明日な」
「ああ」
そう言って2人は無言で自室へ戻った。
2人の部屋は隣同士なので、部屋までの道のりは一緒である。
―ガチャ
―ガチャン
((はぁ...。今日は1日疲れた。))
部屋に着くなり2人は扉を背に床へ座り込んだ。
先程までの緊張が今になって解けたのだろう。
(にしても何だったんだ今日のルチアーノは...)
(今日の俺はどうしたんだ?ランスキー相手にときめくとか...。女にときめいた事すらないのに...)
(ていうか、さっきルチアーノが俺が笑ったとか言ってたけど、俺ってそんなに笑わなかったけか?)
(ランスキーも何か変だったな...。何かいつもより雰囲気が柔らかかったていうか...)
「「ていうか、なんで俺はあいつのこと考えてんだよ~!...え?」」
(今のランスキーの声?)
(今のルチアーノの声?)
((いや、それはねぇな。...にしても、あいつ可愛かったな...))
「「って俺は何考えてんだ!男に可愛いとか!...あ?」」
(またランスキーの声が聞こえた気が...)
(またルチアーノの声が聞こえた気が...)
((あぁ...好きすぎて幻聴が聞こえるとか?...))
「「はあ!?俺があいつを好きとか有り得ねぇよ」」
((また聞こえた気がするけど、きっと幻聴だ。今日は疲れてんだ。寝よう))
これが2人の恋の芽生えである。2人がお互いをちゃんと好きだと自覚するのはもう少し先のお話...。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
7 / 12