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「朝ちゃん、発情期まだだから、薬の欄は未使用にしておくね。無理にヒートを引き起こして、処方薬を先に判断するって手もあるんだけど。朝ちゃんまだ未成年だし、身長も体重もまだ足りてないから、副作用も怖いしね」
診察台に寝かされて、朝陽は次の検査を待つ間、花井から発育についての話を聞かされた。
「Ωっていうのはね、男の子の体の中に女の子が住んでいるような感覚なんだ。だからエネルギーや栄養は二人で半分こして、今、一緒にゆっくりゆっくり成長してる段階なんだよ。体が小さかったり、体毛が薄かったりするのも、他の所で一生懸命パワーを使ってるからかも知れないね」
「お、ち、ち、ちん、ちんが、小さいの、も?」
「おや?誰かに言われたのかな?まさか、また明善くん?」
花井の問いに、朝陽は慌てて首を横に振った。
「く、クラスの、子。お、れが、バカで、ビョーキ、だから、バチが当た、ったんだ、て」
「バチなんて当たるもんか。朝ちゃんには、朝ちゃんのスピードで成長する権利がある。ほら、先生に朝ちゃんのおちんちん見せてごらん。ちゃんと検査してれば、大丈夫だからね」
花井は大きな手で、朝陽の頭を撫でた。
診察台の上で体をもぞもぞと動かしながら、二人の前でボクサーブリーフを脱ぐ。
下着を道弥に渡したあと、朝陽は恥ずかしさをぐっと堪えて足をぱかんと開いた。
花井が、ステンレスの定規を当てる。
冷んやりとした感覚に、体が跳ねた。
「長さは、皮の部分を除いて6.5cmだね。確かに10歳前後の平均ではあるけど、前回よりも0.5cm大きくなってる。大丈夫、ちゃんと、朝ちゃんペースで成長してるよ」
それを聞いた道弥が、書類に6.5と書き込んでいる。
Ω性であるというだけで、そんなことまで公的文書に記入しなければならない状況に、朝陽は不公平だと感じずにはいられなかった。
「う、う、嬉しく、ない!まったく!」
それを上手く言葉で表現できないものだからつい、癇癪を起こしたように喚いてしまう。
この前も、進学したくても進学先が見つからない歯痒さと、どうするの、といちいち尋ねる母親に不満が爆発して、思わずうるさい、と怒鳴っていた。
冷静に考えれば分かる、悲しいとか、寂しいとか、辛いってことを、大事なときに限って上手く伝えられない。
結局は切り取られたその部分だけを隆明に報告され、それはもう死ぬかと思うほど、酷い目にあったのだった。
「そうかあ、嬉しくないな!全くもって、その通りだ。朝ちゃんも、立派な男だもんなあ」
またあの日のように怒られるかも知れないと身構えれば、予想に反して、花井は腹を抱えて笑っていた。
「そうやって、いっぱい喋りなさい。高校に行ったら、キミを知らない人がたくさんいる。よく知らないで、傷付けるような人もいる。でも、きっと朝ちゃんを大好きになる人もたくさんいるよ。現に僕も、道弥も朝ちゃんが大好きだろ?」
花井にぎゅうっと抱き締められ、朝陽は久しぶりにくすぐったい気持ちになる。
言いようのなかったイライラは、いつの間にか氷のように溶けてどこかへ流れ出てしまっていた。
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