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「信じらんねえ!検査中に全裸で爆睡するって、どんな神経してんだ。あり得ねえだろ、15にもなって、フルチンで寝てるって、んで風邪ひいて、熱出してバカ丸出しだな、ほんと」
その挙句このオレをお迎えに寄越すなんて、と明善は腹立たしげに朝陽の頭を小突く。
ごめんね、と何度謝っても、吃るな、キモい、バカ、死ね、の応酬で明善とは全く話にならなかった。
「こら明善、仮にも病人に乱暴はよせ。とにかく、花井さんには改めて朝陽とお礼に伺うとして、まずは元気にならないと、な。朝陽、こっちにおいで、お粥を食べよう」
病人の息子などお構いなしで外出してしまった両親に代わり、職場近くで一人暮らしをしている長男の千明が、今日は実家に戻り、朝から朝陽の世話を焼いていた。
「ち、ち、ちいちゃ、ん。た、まご?」
「そうだよ、朝陽が大好きな玉子いっぱいのお粥。元気になれるお兄ちゃんの愛情入り」
ほら、こっちにおいで、と、千明は軽々、朝陽を抱き上げ、例のごとく自分の膝に乗せた。
「ち、ちい、ちゃ、もう、オレ15さ、歳なのに」
「そんなの兄弟なんだから関係ないでしょ、オレの可愛いうにゃうにゃ星人ちゃん。明善に意地悪されてないか?あいつ性格おブスだから、天使の朝陽ちゃんに嫉妬してんだよ。むふ、可愛い。やっぱり今日も、赤ちゃんの匂いがしゅるう」
千明は朝陽の首筋に鼻を当て、鼻息荒くふんふん匂いを嗅ぐ。
耳の後ろを舐めたり、平気で唇にキスをするのも、彼が朝陽にするごく自然なスキンシップだった。
「だあからあ!気持ち悪いんだって!マジでいい加減にしろよ、変態ブラコン近親相姦野郎!それが原因で家追い出されたようなくせに、しかも、よりによってそんなブッサイクに!不細工が感染る!死ねカス!」
「うるさいなあ。ぶちゃいくは、明善だよねえ。性悪が滲み出てるもん、お友だち0人だから、ぷりぷりしてんだよ、ほっとこ。それに比べて、朝陽は可愛いなあ。素直で甘えん坊で、泣き虫でどもりんぼ。ご飯食べたら、体ちゅっちゅさせてね」
そう言って、長い睫毛の下の、くっきりとした大きな瞳が朝陽を見下ろす。
親族の中でも一二を争う美青年の彼は、成績優秀で、大学は首席卒業、英語、中国語を話し、テニスで国体にも出場した経験があった。
現在は、父と同じ座々川製薬で、α用抑制剤の研究開発者として立派に働いている。
しかし、柔和な性格で座々川じゃ珍しい常識人とも言われる千明は、末っ子の朝陽を前にすると異常なまでのブラコンに豹変する、ぶっ飛んだ欠点も持ち合わせているのだった。
「朝陽、鷲尾学園受けるんだってね。母さんから聞いたよ。鷲尾って有名な進学校じゃないか。頑張るんだ、可愛いなあ。お兄ちゃんの家からの方が近いし、一緒に住んでもいいんだよお?もちろん、毎日ちゅっちゅし合いっこできるし。あ、どうお粥、おいちい?」
千明が頬に吸い付いた。
それを見た明善がまた、喚き散らす。
玉子のお粥を、慌てて飲み込む朝陽。
「う、う、う、うる、さくて、わか、らん!」
もういっぱいいっぱいで、朝陽はスプーンを放り投げた。
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