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始まりの始まり 2
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小さい頃は、俺にもそれなりに夢はあった。
小学校の時の文化祭に、有志参加のパフォーマンスタイムがあった。
参加できるのは4年生からだったから、その年はやっと参加できるって意気込んでいた。
特に、俺は前に出たがるタイプだったから、なんでもいいからやりたかった。
当然、一番に誘ったのは幼馴染の慎太郎。
あの頃は、慎太郎への想いが恋だなんて気づいてすらいなかったけど。
とにかく、俺がなにかしようとする時は必ず最初に慎太郎に相談していた。
だからその時も、相談も兼ねて慎太郎を誘ってみた。
で、慎太郎から返ったてきた返事は、「誘うならちゃんと何やるか決めてから誘え」だった。
なんとも慎太郎らしい返事。
でもそれは正論だ。
だから俺は言われた通り、何がやりたいか真剣に考えてみた。
結局一週間くらい悩んでも決まらなくて、たまたま見てたテレビで漫才をやってたから、漫才でいいかってことになった。
俺はただ、ステージに立ってなにかできればよかったから、何をやるかにこだわりはなかった。
そして、俺たちは文化祭のステージ上で、漫才を披露した。
結果は、大ウケだった。
驚いた。
ただ話して、ボケてツッコミを入れて。
それだけの事で、これだけの人が笑ってる。
その視線の先には俺たちが立っている。
胸が高鳴るのを感じた。
それから俺は、結構本気で漫才師になりたいと思っていた。
ただ、それは昔の話で、現実はそう甘くないことを知ってしまった。
ましてや漫才師なんて、成功者は一握りの世界なら尚更だ。
それに、もし漫才をやるとしたら相方がいる。
俺はそんなの慎太郎以外考えられないわけで、でも慎太郎の将来を不安なものにはしたくない。
だから高校の時の俺は、子供の頃の俺の夢を封印した。
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