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始まりの始まり 3
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今更こんな昔のこと思い出すなんて、もしかして俺、諦めきれてないのかな。
自分でネタ考えて寝不足になるくらいには本気だったけど。
でも、このタイミングで再熱するのはまずいよな。
ただでさえ就活に身が入らないってのに。
「おい、遥。ソファで寝るな。寝るなら部屋戻れ」
「え、あぁ、ごめん。考え事してた」
「…夢のことか」
「え…」
「この前俺が言ったこと、お前の事だから就活そっちのけでバカ真面目に考えてるんだろ」
「うっ…」
当たってるけど、少し違う…。
もう夢は見つかってる。
ただ、そう簡単になりたくてなれるものじゃないんだ。
「…はぁ、何悩んでんのか知らないけど、俺にくらい話してみれば」
「えっ…」
「お前が気遣うとか気持ち悪いし」
「……」
確かに、今までの俺なら真っ先に慎太郎に相談てた。
でも今回は、慎太郎を巻き込むことになるから避けてたけど、やっぱり話してみた方がいいのかな…。
「…俺、夢思い出したんだけどさ」
「うん」
「漫才師…なんだよね」
「うん」
「でも、相方とか養成所とか、結構問題多いし…なにより現実的じゃないよなって…」
「なるほどね…。まあ相方は養成所とかで見つけてもいいんじゃないの」
「…あ、相方は…」
「ん?なんだよ」
「……慎太郎、お、俺と、漫才やってくれ…!」
「は……」
「あ、いや…ごめん…嫌なら全然いいんだけど…」
「いいよ」
「そうだよね…、やっぱり…へっ?」
「だから、俺は別にお前と漫才師目指してもいいよって言ったの」
「ほ、ほんとに…?え、でもお前内定いくつかもらってたよな?それに親御さんは…」
「内定も親もどうにでもなるよ。何、嫌なの。誘ってきたのはお前だろ」
「お願いします…!」
俺は、慎太郎に向かって深々と頭を下げた。
「ん。なら決まりだな。これからよろしく、相方さん」
下げた頭に、慎太郎がポンと手を乗せた。
こうして、俺たちは漫才師になるために走り出した。
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