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「葵・・・」
「俺にはお前が見えるんだけど、幽霊か?」
「似たようなものだね」
「やめてくれよ、憑りつかないでくれよ」
「そんな事はしない、俺はここから離れないし」
「地縛霊?」
「違う、ここで楓を待ってるから」
「あのさ、今更過ぎだろ?」
「わかってる、だけど待ちたいんだ」
「来なかったら?」
「時間なら永遠にあるしね」
「だな」
まだ俺を待ってる?
どうして?
「楓には会ったのか?」
「一度だけ」
「それで?」
「俺の事は綺麗に忘れていたみたい」
「へぇ」
「全てを思い出して欲しいとは思わない、だけど俺は許してくれるまで謝りたいから」
「一つ聞いていい?」
「何?」
「お前、楓を愛していたのか?」
「楓と過ごす日々が楽しいと思えるようになった・・・楓の優しさを知る度に心の中で葛藤した」
「葛藤?」
「楓は罪を犯した、だけどそんな事をするようには見えなかった」
「お前はその罪を許す事は出来なかった」
「殺人を犯したんだよ・・・」
「・・・・・・・・・・・」
「捕まったら死刑だとわかっていた、だから俺は」
「何?」
「車の中で楓を逃がすつもりだった・・・それなのにっ」
「そんな事をしたらお前がやばいんじゃないのか?」
「俺を傷付けて逃げればよかったんだ、俺はそのつもりだった」
「お前さ、自分の事しか考えてないの?楓がお前を傷付ける事なんて出来ないだろ」
「・・・・・・・・」
「逃がすって笑わせるな、二人で逃げる事は考えなかったのか?それとも罪を被るのは嫌?」
「怖かったんだ、逃げたとしてもどうせ捕まる」
「楓を逃がしても同じだろ」
「そうだね、俺の考えが間違っていたんだ」
「質問の答えになっていない」
「愛していたよ、今も愛してる」
「その事に死ぬ前に気付いていればよかったのにな」
「どんなに後悔しても時間は戻らない・・・あの頃にはね」
「だな」
「今でも鮮明に覚えている・・・楓との日々、二人で見つめたスノードーム」
「・・・・・・・・・・」
「葵、楓と会ったの?」
「どうして死んだ奴に会えるんだよ?俺は生きてるんだぞ」
「ごめん」
「会えるものなら会いたいよ、幽霊でもね」
「・・・・・・・・・・・」
「ずっとここで楓を待ってその後どうするつもりだ?」
「わからない、だけど許してもらえるまでここにいる」
「許さないと言われたら?」
「それでも謝るしかないんだ」
「確かにもう死んでいるわけだし殺してくれとも言えないしね」
「ずっとあの時の事を考えているんだ・・・あの時の楓の顔が忘れられない」
「・・・・・・・・・・」
「俺は裏切ったのに、楓は俺が死ななくてよかったとい言って笑ったんだ・・・どうしてっ」
「楓だしな、だけどさ・・・お前は知らないと思うけど」
「うん」
「楓は一度裏切られたら二度と心は開かないし優しさも無い」
「・・・・・・・・・・・」
「謝ったら許してくれると思うなよ?絶望しかないぞ」
「それでも俺は」
「好きにするといい、俺には関係ない話だ」
「ごめん、そろそろ月が輝きだす」
「だから?」
「俺は夜になるとこの姿ではいられない」
「まぁいいや・・・俺は行くよ」
「葵」
「何?」
「話をしてくれてありがとう」
「・・・・・・・・・・・・・」
「寂しかったからすごく嬉しかったんだ」
「じゃな」
「うん」
翔と別れた葵がベンチに腰掛けた
何とも言えない表情だね
「葵」
「ごめん、あいつが天使のように笑うから」
「天使だしね」
「だな・・・なぁ、楓」
「許すとかどうでもいい、俺はあいつを思い出せないから」
「そうか」
「それにね、愛していると言われても嬉しくなかったから」
「・・・・・・・・・・・・」
「帰るよ」
「ああ」
「葵」
「ん?」
「忘れないでね・・・俺は悪魔なんだよ」
「そうだな」
「良心など持ち合わせていないから」
「・・・・・・・・・・」
「じゃね」
翔と葵の会話を聞いても心が動かされる事は無かった
愛している?
笑えるね
天使が悪魔を愛しているなんて馬鹿げた話だね
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