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心が渇く
この渇きを潤したい
今すぐに
ーもう死にたい・・・生きるのが辛いー
馬鹿な人間のつぶやきが聞こえる
下らない事で命を放棄する愚かな人間
死は逃げを意味するのにね
声の主を捜し、目の前に佇んだ
「ひっ!」
「死にたいの?」
「えっ?」
「殺してあげるよ、この世に未練がなくなったらね」
「未練なんかっ!」
「無いの?」
「・・・・・・・・・・私を裏切った男を殺したい」
「殺したいの?」
「殺したい」
「死んだらもう生き返らないんだよ」
「わかってる」
「そう、それで未練がなくなるんだね」
「ええ」
「わかった、行こう」
「えっ?」
翼を広げ、微笑んだ
「悪魔・・・」
「腕の中へ」
「・・・・・・・・・・」
「今更怖くなったの?」
「いえ」
「そう、よかった」
細い体を抱き上げ、空を飛んだ
捜していた男はすぐに見つかった
「彼だね?」
「ええ」
「クスッ」
この先の展開が見えて思わず笑ってしまった
「な、何だ!」
「・・・・・・・・・・・」
「私は悪魔に魂を売ったのよ」
「美波・・・お前」
「私の願いは貴方の死」
「すまない、俺に勇気が無かったんだ・・・だけど俺にはお前が必要だと気付いた、今から会いに行こうとしていたんだ」
「えっ?」
「やり直そう、もう一度」
「孝行・・・」
「美波・・・ぐっ!」
「きゃーーーー!孝行!!」
「願いは叶えたよ」
赤い心臓を掴み、赤い舌で唇を舐めた
「いやぁーーー!孝行!どうして・・・こんな」
「君の願いだったでしょ?」
「だけど孝行はっ!」
「そんな事はどうでもいい」
「この悪魔!」
「俺は悪魔だけどね・・・じゃ願いを叶えてあげる」
「い、いや・・・やめて・・・ぐふっ!」
笑いながら心臓に手を突き刺し心臓を取り出した
手の平に乗った心臓は静かに動きを止めた
「これで永遠に一緒にいられるじゃない、おめでとう」
二人の魂を掴み、飲み込んだ
「ご馳走様」
心臓を地面に落とし、冷たくなった死体を見つめた
その時、白い羽が目の前をふわふわと横切った
目障りだね
「散歩かな」
「どうしてこんな事を」
「どうして?俺は悪魔だから」
「・・っ」
「天使は人殺しを許せないのかな?だけど俺は天国には行けないからどうでもいいね」
「楓っ!」
「お前に俺を止める事が出来るの?そんなひ弱な体で」
「もうやめて!こんな事をしないで」
「何度も言わせないでね?俺は悪魔なんだよ」
「それでもっ!」
「お前に止める権利などないはず、そして俺は罪に問われる事もない」
「・・・・・・・・・・・・」
細い首を締め付けながら言った
「天使は殺せないけどこの首を捻りつぶす事は出来るかもね」
「・・・っ!」
「苦しいのかな?とてもいい顔をしているね」
「楓・・・っ」
逃げようとしない翔
死ななくても苦しいはずなのに
「馬鹿らしい」
「ゲホッゲホッ!」
首から手を離し、解放した
「二度と俺の前に姿を現すな」
「嫌だっ!」
「・・・・・・・・・」
「お願い、俺の話を・・・」
「その羽を真っ二つにしてやろうか?」
「すればいい、それで気が済むなら」
「さすが天使、気分が悪くなる」
「思い出せなくてもいい、ごめんなさい・・・俺を許して」
「どうでもいい」
翼を広げ、その場から離れた
手にこびりついた赤い血が気持ち悪かった
何を許す?
思い出せないのにバカなの?
空の上から白い羽を見つめていた
眩い羽は闇を明るく照らしていた
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