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コーヒーを飲みながら幻蝶が唐突に言った
「悪魔ってクリスマスはどうなんだ?」
「質問の意味がわからないかな」
「悪魔だろ?」
「クリスマスは天使寄りだからって事?俺は別に普通だけど」
「成程ね」
「ところで欲しいものがあるんだけど」
「珍しいな、お前の金なら腐るほどあるぞ」
「それは幻蝶が好きにして」
「で、何が欲しいんだ?」
「ハンドメイドのナイフ」
そう言って、俺がデザインしたナイフが書かれた紙を見せた
「クロスに羽か?」
「さぁね、適当」
「いつまでに?」
「クリスマスイヴ」
「俺へのプレゼントではなさそうだな」
「切れ味のいいやつをシルバーでお願いね」
「お前、まさかそれで」
「天使も殺せるね」
「・・・・・・・・・・」
「じゃ、頼んだから」
「ああ」
幻蝶は微かに頷き、溜息をついていた
俺は薄暗い場所に座り、スノードームを見つめていた
そろそろ終わりにしたい
永遠の憎しみから
愛していたから死んでも悪魔の俺を苦しませる
悪魔だから天使など愛せない
白と黒、どちらかの色に染まる事が出来ないのなら混ぜ合わせてしまえばいい
属に言うグレーゾーンに足を踏み込めばいい
憎む事も、思い出す事も疲れた
有り余る時間にももうんざりだ
「いたっ!」
また棘で指を傷付けてしまった
天使でも赤い手が出る
指を口の中に入れ、絆創膏を探した
葵には繭の所にいると連絡しておいた
心配そうだったけど、葵も年末に向けてのライブで忙しいから丁度いい
「急がないと」
明日から12月
この調子で行けば何とか間に合いそうだ
「翔」
「繭、どうしたの?」
「指」
「平気、こんな痛みぐらい」
「質問してもいい?」
「質問?」
「うん、はいこれ」
「ありがとう」
パン・・・
繭らしいけど思わず笑いそうになった
「食べてもいい?」
「どうぞ」
朝から何も食べていなかったから助かった
天使なのに助かったと言うのも変だけどね
「それで、質問って?」
「もし、別の人生があるとしたら翔はどうしたいのかなって」
「別の人生・・・ん~」
天使の俺に別の人生と言われてもピンと来ないけど
「これは俺の希望だけどね」
「うん」
「もし、また楓と出会えたのならどこか遠くで二人だけで暮らしたい」
「このご時世に?」
「まぁね、でもさ仕事だけが人生じゃないと思うしね」
「お金は?」
「自給自足とか?」
「電気は?」
「暖炉でいい」
「水道は?」
「井戸があればいいかな」
「楓が嫌だと言ったら?」
「その時はまた考える、でもずっと二人で居たい気持ちは変わらない」
「ようするに、楓との生活を望んでいるんだ」
「そうだね、夢物語だけど・・・今度は嘘のない生活をしたいから」
「頑張ってね」
「ありがとう」
繭には感謝しかない
薔薇を植える仕事で百万本のダリアがもらえるなんて夢みたいだ
パンを食べ終わり、仕事を始めた
絶対にやりきって見せる
俺の為ではなく、楓の為に
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