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「終わった・・・」
全ての苗を植え終えたのは24日の午後だった
結構時間がかかったし甘く見ていた
天使の俺は疲れるとすぐ眠ってしまう
だから慣れない作業がなかなか進まなかった
「お疲れ様」
「繭」
「本当にやりきったね」
「うん」
「そんなに楓が大切?」
「もちろんだよ、でも時間が」
ダリアを運ぶ時間が無い
今からここのダリアを集めるには時間がかかりすぎる
「どうしても行くの?」
「約束したから」
「もう許してもらえたんでしょ?」
「そうだけど、これは俺の気持ちだから」
「ダリアは全て公園に運ばせるから安心して」
「えっ?」
「泥だらけのまま会いに行くの?」
「あっ!」
「苗を数えたら12000本あったから2000本分のお返しはさせてもらう」
「ありがとう、繭」
「バスルームを使うといい」
「うん」
確かに泥だらけでは会いに行けない
急いでシャワーを浴び、髪を乾かした
「これは?」
「クリスマスプレゼント、きっと似合う」
「ありがとう、でもお返しする事が」
「天使との生活でお返しはいただいたから」
「繭、本当にありがとう」
繭のプレゼントは純白のセーターとマフラーだった
クリスマスらしい服装だ
「後30分しかないから行くね、本当にありがとう」
「翔」
「ん?」
「・・・・・ううん、メリークリスマス」
「メリークリスマス」
繭は少し悲し気な表情を浮かべていた
また会えるのにね
「珍しくお洒落をしているな」
「一応ね」
「クリスマスに神父を襲うなよ?」
「そんな事はしないよ、そうだ幻蝶」
「何だ?」
「これを」
「これは?」
「メリークリスマス」
「えっ?」
「ナイフと同じデザインのネックレスだけど」
「嬉しいよ、そう言えばお前に頼まれていたナイフはどうするんだ?」
「見せて」
「ああ」
ナイフを受け取り、怪しく光る刃を見つめた
「ありがとう、護身用に持って行くよ」
「冗談だろ」
「幻蝶、色々ありがとう・・・最高の悪友だよ」
「悪魔らしくないな、それにその言葉が気に入らない」
「何故?」
「湿っぽい」
「だね、じゃ行くよ」
「ああ」
窓を開けて立ち止まり、幻蝶に近付いた
「忘れ物か?」
「そうだね、忘れ物」
そう言って幻蝶にキスをして微笑んだ
「二度としないけどね、今夜はイヴだから」
「楓」
「じゃ行くよ」
「楓!」
最初で最後のキスを忘れないでね
本当に幻蝶は最高の悪友だった
空から見えるイルミネーションがキラキラしていた
まるで水に浮かぶ花火のようにも見えた
「雪・・・」
寒がりの翔はきっともう待っているに違いない
もうすぐ着くから待っていて
急いで行くから
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