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アルバム
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母さんの盛大な夕食(ゆきのために張り切ったんだろう)を食べ終え、ゆきと俺は部屋でゆっくりしていた
「あっ、このアルバム懐かしいね」
ゆきが、本棚から一冊のアルバムを取り出した
「あー、小学生の時のだ」
正直アルバムとか昔の思い出とかあんまり興味ないし、
思い出したくもない…
でも、ゆきはペラペラめくっては、その時あったことを
話してくる
一緒にお祭りに行ったこと
はじめての遠足で俺が迷子になったこと
みんなでバーベキューをしたこと
雪合戦ではじめてゆきを怒らせたこと
そして、俺たちがはじめて会った日のこと
他にもたくさん思い出があったけど、そんな思い出の宝箱のようなアルバムも小学校4年生の冬からの写真は1つもない
「晴はさ、もうアルバム作らないの?」
ゆきは、空白のページをじっと見つめてから俺に視線だけを向けた
「つくらないよ…、アルバムなんて何の意味もないだろ」
思い出なんてただ悲しくなるだけだ
父さんが死んだ時からアルバムは作ってないし、思い出に浸ることすら怖いと感じるようになった
「じゃあさ、これからたくさん思い出つくってアルバムに残そうか」
満面の笑顔のゆきに唖然とした
「え?俺の話聞いてた?」
「もちろん!でも、そんなこと言ってたら、いつまでたっても前に進めないよ」
そう言うとゆきは思い立ったように部屋から出て行った
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