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「どうして、閉じ込められてたんだ?」
ショウマからそう聞かれた瞬間、背中に冷や汗が流れた。心臓が嫌な鼓動をする。
「ご、め……それは……言えない……。」
どう、思っただろうか。俺に、失望しただろうか。もう、俺のこの気持ちもショウマは知っていて、ショウマの気持ちも俺は知っているのに、俺はショウマを疑うような行為をしている。例え、それがどんな理由であれ、それは変わらない。
ショウマに嫌われるのではないか、という恐怖が、俺の身体を震わせた。
「そっか……。」
それでも……。
「ショウマ。」
「ん?」
「二日後……俺の家に、来てくれないか?」
俺が、そんなことを言うと思ってもいなかったのだろう。
「いいのか?」
その声は、戸惑いと嬉しさで満ちていた。当然、俺の心に深く突き刺さる。
「う、うん……もちろん。」
ズキンと心が痛む。
その時、ショウマは俺から離れて前へまわり、俺の肩を掴んで言った。
「ありがとうな!レイン!」
本当に……嬉しそうな笑顔だった。
それを見ると、心が苦しくなる。いや、笑顔を見たからだけじゃない。声を、ショウマの声を聞いたから。あんなに、喜ぶとは思っていなかったから。それが、俺と縁を切るためだって、ショウマが知らないから。
鼻の奥がツンとした。それでも、涙を流すわけにはいかない。
「明日の早朝、また会おう……ショウマ。」
「おう!じゃあ、また明日な!」
そう言って、俺はショウマが見えなくなるまで、見送る。顔に笑顔を貼り付けながら。
そして、ショウマの姿が見えなくなると同時に、俺の目から涙が零れる。
「っ……」
俺はそれを手で拭う。
まだ、涙を流す時じゃない。まだ……。
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