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俺は、ショウマを傷つける覚悟をした。でも。
俺は、傷つけたまま……ショウマの心に傷を負わせたまま、生きるなんて……そんなの、絶対に嫌だ!ショウマがそれで辛い思いをすると思うともっと嫌だ!
だから、俺は必死になってどうにかショウマに一言、これは俺の望んだ別れではない、決して遊びなんかじゃなかったと、伝える方法を探した。
それが、さっきショウマに渡した花だった。俺は必死になって探した。ショウマなら、俺が渡した花の意味をきっと分かってくれる。そう、信じる。
「っ……。」
あの時、ショウマがあの花が何かわからないと言った。すごく悲しかった。今日、酷いことを言ってしまう、俺を許して欲しかった。
これは、俺のワガママだ。それは十分に分かっている。けど、罪悪感に囚われたまま生きるのは苦痛でしかない。そんなのは、死んでも嫌だ。
「レイン。」
後ろから声がした。
「叔父様……。」
足がすくむ。身体が震える。でも、耐えてみせる。
「準備は整ったな。では、王の間へ行くぞ。」
「……はい。」
俺は叔父様の後を着いていく。ショウマを見ても、悲しい顔などしないように、覚悟を決めながら。
大丈夫。俺は、ちゃんと出来る。
自分に、そう言い聞かせていた。
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