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血は水よりも濃い
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陸さんはふぅーっと深呼吸してから少し低めの声になって話始めた。
「実は· · ·君って昔に両親離婚してるでしょ?」
「え!?」
なんで知ってるんだ· · ·?
「それで、母親も亡くなってるよね?」
なんでそこまで知ってる· · ·!?
「どうして· · ·それを· · ·?」
びっくりした俺は目を丸くして聞いた。
「実はね、昨日君を見つけてもしかしてと思ったんだけど、名前を聞いてわかってね。今言われてもすぐには信じられないと思うけど、僕は君の父親の息子なんだよ· · ·。」
「え??ちょっと待って下さい!年上ですよね?離婚する前に一回結婚してるって事ですか?でもバツはなかったはずですよ· · ·。いきなりそんなこと言われても· · ·。」
なんだよ急に· · ·父親?息子?· · ·
「そりゃそうだよね。実は君の母親と父は結婚していないんだ。幼かったから知らなかったと思うけど、君の母親は父の愛人だったんだ。」
「そんなわけ· · ·」
「覚えてないだろうけど、父は祖父の桜井コーポレーションって言う会社を継いで社長をしていて、僕の母と父は親に決められた結婚だったから、父と母はそんなに仲良くなかったんだ。そこで君の母親と出会って本当に愛し合って君が産まれたんだ。」
「・・・」
桜井コーポレーションって不動産とか銀行とか色んな業種やってるすごい大きな会社じゃねぇか!バカな俺でもわかる。でも俺の父親がそこの社長?何が何だかわからない。
そもそも本当なのか· · ·?
「信じられないよね· · ·証拠もあるよ· · ·」
そう言われ出されたのは母と男の人と、その男の人に肩車されている自分の写真だった。
どうやら本当の話のようだ· · ·。
「正直、父の顔も名前も覚えていませんし、父に対して良い印象がありません。実際母が亡くなった時も姿を見せなかったし、あいつがいなくなって母も苦労して俺も一人で生きてきたんだ。なのでその事を言われても何とも思いません。それを伝えてどうしたいんですか?」
俺は少し荒立てた声で言った。
「· · ·それは違うよ。本当は父は君の母親と結婚したかったんだ。だけど父の父、だから僕の祖父に反対されてもう会うなと言われ、仕方なく別れることになったんだ。亡くなった時も実は行ってたんだよ?」
「え?」どういう事だよ· · ·。
「葬式には行ったんだけど、入れなくて前でずっと見ていたんだ。君の高校のお金も母親の遺産も、実は父が払ったものなんだ」
「そんな· · ·」
「それでね、僕の母も最近亡くなって父は是非君に来て欲しいそうなんだ。とりあえず会って話するだけでもどうかな?」
「・・・」
急にそんな話· · ·訳が分からない。
「すぐには決められないだろうしまた考えたら連絡して?」
そう言われ名刺を渡された。
頭がいっぱいで何も考えられなかった。
でも正直頭のどこかで父親に会ってみたい。
会ったらぶん殴って言い訳でも聞いてやろうと思っていた。
「いきなりこんな話ごめん。帰ろうか· · ·。」
「· · ·会います」
「え??」
「父親に会います。会って話だけでも聞いて、ふざけんなってぶん殴ります。」
とっさに陸さんの腕を掴み言った。
「· · ·そっか。よかった。今からでも大丈夫?」
「はい」
「そっか。じゃあ行こうか。」
心臓がバクバクする。何て言って殴ってやろう。
混乱してる頭で必死に落ち着けと叫んだ。
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