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----side七海『七海と神谷先生』
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「ななみーん、差し入れ作ってきたんだけど良かったら食べて」
「わ、マジで?この間のクッキーすげー美味かったからさ、次なんだろうって楽しみにしてた」
「ほんと?ななみんいつも喜んでくれるから色々作ってみたくなっちゃうんだよねー」
素直に喜んで受け取ると、嬉しそうに女の子達も笑ってくれる。
部活やると腹減るし、差し入れを貰えるのはかなりありがたい。
放課後の体育館。
部活を見に来てくれた女の子たちと入り口で話し込んでいたら、ちょうど体育館にきたらしいカミヤンにガシッと首根っこを掴まれた。
「あー、悪いけどもう練習始まってるから七海は連れてくな。今度の試合、良かったら見に来てやってね」
「はーいっ。応援してますからカミヤンもななみんも頑張って下さいねっ」
カミヤンの言葉にキャッキャと女の子達が盛り上がりながら下がっていく。
俺は首根っこを掴まれたまま、カミヤンを見上げた。
呆れたような視線が落ちてくる。
「七海、年頃だし女子と話したいのも分かるが、真面目に練習しないといい加減キャプテンが泣くぞ」
「…はは、キャプテンの泣き顔は萌えないっすねえ」
ゴリラみたいな顔して部員に指示をだしてるキャプテンを遠目に眺める。
怒られるのはみーちゃんだけでいいのに、キャプテンにはしょっちゅうどやされる。
みーちゃんが見に来てくれれば少しはやる気もでるのに、俺を見に来てくれるのはいつだって女の子ばっかりだ。差し入れいっぱいくれるから嬉しいけど。
なんてみーちゃんのことを思い出したら胸がドキドキしてきた。
「あー、早くみーちゃんとエロいことしたい」
思わず口走ったら、カミヤンにまでどやされた。
「まったく女の話してる場合か。仮にもお前部のエースなんだから、後輩に見本になるような行動とれよ」
「だいじょーぶっすよ。心配しなくてもやる時はやりますって」
「とか言いながらこの間の練習試合寝坊しただろ」
「あー」
そう言えばそんなこともあったっけ。
テヘ、と舌を出してみたが、可愛くないと額を小突かれた。
それでもなんだかんだ言ってカミヤンは優しいから、怒りながらも試合に出してくれたけど。
「まったく紺野先生なら時間を守れない奴は試合にでる資格はないと、絶対出してくれないぞ」
「あー、確かに言いそうっすね。眼鏡クイってしながら言いますね」
「ふふ、想像出来るな」
俺の言葉にカミヤンが楽しそうに笑う。
その表情をじっと覗き込むと、カミヤンがなんだと首を傾げた。
「カミヤンって紺野先生のこと好きっすよね」
「…なんだいきなり。もちろん人として尊敬してるが」
「そーじゃないっすよ。恋愛感情で好きなのかなって。よく話出してるじゃないっすか」
カミヤンは一度面食らったように瞬きしてから、いつも通りの顔でふふっと笑った。
「何を言ってるんだ。俺も紺野先生も男なんだが?」
「あー、そうっすよね。カミヤン女子にモテモテだし、まさかありえないっすよねえ」
「…そうだな」
はは、とカミヤンと笑い合う。
俺の勘違いだったのかと知って、ホッとする。
俺は人としてカミヤンの事も好きだし、バスケも上手いし尊敬してる。
担任でめっちゃ嬉しいし、話しやすいからみーちゃんの次に好きな先生だ。
尊敬してる人に好きな人を取られるのは、もう嫌だなって思う。
「なーんだ。カミヤンが紺野先生のこと好きなのかと思って俺心配しちゃいましたよ」
「心配って…全くお前たち生徒は本当に紺野先生のこと分かってないな。あの人誤解されやすいが、すごく優しい人だぞ」
「知ってますよ」
そう言って俺はコートに目を向ける。
ゴリラ…じゃなかった、キャプテンが怒った顔で俺に手招きしていた。
「カミヤン、俺の邪魔はしないでくださいね」
「…は?」
キョトンとした顔にニッコリ笑ってそう言うと、コートへと走る。
本当は大声でみーちゃんを好きなことを言って回りたいくらいだけど、それをしたら絶対にめちゃくちゃ怒られるから。
コソコソするのはあまり好きじゃないけど、大好きな人のために我慢しようと思う。
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