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軽く触れるだけのキスだったが、七海が唖然としたように目を丸くする。
ポカンとした顔で見つめられて、妙な居心地になる。
「…な、なんだその反応は」
「あ…いえ。すいません。ちょっと…いやかなりビックリっつーか…」
七海の顔が珍しく赤くなり、驚いたことに耳まで赤くしている。
もう何度も唇を重ねてはいるが、考えてみれば俺からしたのは初めてかもしれない。
こういう状況だったから深く考えずに出来たが、よく考えたら非常に恥ずかしいことをしたかもしれない。
こっちまでぶわっと顔が熱くなり、お互いにドキドキと視線を逸らしてしまう。
だがすぐに七海がお返しのように俺に触れるだけの口付けをした。
「あーもー…ほんとみーちゃんは俺を煽るのが上手です」
「あ、煽ってない」
「煽りまくりです」
そう言って腰をゆるゆると動かされる。
すぐに快感を身体が拾い始め、七海が俺の様子を見ながら動きを速めていく。
漏れ出る声はキスで塞がれて、七海の首に手を回して必死に縋り付く。
「…っは、すいません。もう持たないです」
「んっ…ん、あっ」
七海のモノが俺の中で張り詰めていく度に、堪らない快感が上がっていく。
お互いに荒く息を吐き出しながら、蕩けそうな快楽に身を委ねる。
「…っあー、やべ、イク。みーちゃんの中にいっぱい出しますね」
「あっ、ん…な、中は…っ」
情事後に風呂場で掻き出された事を思い出す。
アレをまたされるのかと思ったら正直居たたまれない。
「…っは、中出し嫌ですか?でもしますよ。今日はみーちゃんに種付けするって決めてますから」
「――やっ、変なこと言うな…ッ」
興奮しきった目で卑猥な言葉を言われて、煽られるように身体の奥が疼いてしまう。
もう身体が七海を喜ばせるために出来ているのでは、と錯覚してしまう。
「…ッ、そんなに嬉しそうに締め付けないで下さい。…っイきます」
「あっ、やっ、んんー…ッ」
噛みつかれるようなキスをされながら、俺達はお互いを貪るようにほとんど同時に果てていた。
「――っ…これはこれは」
職員室に戻ると神谷がビクリとした様子で俺に駆け寄ってきた。
頭が大分ぼやーっとして回らないが、ともかく早く自分の荷物を持たなければ。
だが目の前に立ちふさがった神谷がどかない。
「…なんだ」
「あっ、いえ…いや。そんな顔で歩いてはいけません」
「…は?」
何を言っているのか分からないが、サッと神谷は俺の席へ行くと荷物を持ってきてくれた。
「…あ、ありがとう」
「…っはぁ、お家までお送りしましょうか。そんな顔で出歩いて変態にでも会ったら大変です」
「ストーカーが何を言っている」
どこか息を荒げている神谷をじとりと睨んで鞄とコートをひったくる。
七海を待たせているし神谷に着いてこられるわけにもいかない。
一回で終わるはずもなく、飽き足らずされた先程の行為のせいで顔の熱が冷めやらずぼーっとしてしまう。
酷く残念そうな神谷を一瞥してから鈍く痛む腰を擦りつつ、裏口から外へ出た。
「みーちゃんっ」
嬉しそうな顔で駆け寄ってきた七海は、すぐに俺の手を握り指まで絡ませてくる。
もう辺りは真っ暗で誰もいないし、まあいいかと好きにさせる。
「身体大丈夫ですか?ヘロ眼鏡さんですか?おぶりますか?」
「いらない。…全くお前はどうして会って5分で盛るんだ」
「それだけ大好きなんですっ。ずーっとお預けプレイされてたのにみーちゃんがここの所嬉しいこといっぱいしてくれたんで、会ったら余計に我慢できなくなっちゃいました」
「そーか…」
機嫌良さそうにスッキリとした笑顔でそう言う七海にため息を吐く。
コイツやはり本当は俺の身体が目的なんじゃないだろうか。
それでも二人で歩く帰り道、ニコニコとはしゃぐように隣を歩く七海はどこまでも嬉しそうだ。
ここ最近ずっと携帯握りしめながら一人で歩くのが当たり前になっていたから、七海が帰ってきたことにまだふわふわとした気持ちだ。
「…ってお前当たり前のように俺と一緒に帰ってきているが――」
勉強は、と言い掛けて口を噤む。
もう癖になってしまっているんだろうか。
俺の様子に七海は気分を害した様子もなく、くすぐったそうな笑顔を向けてきた。
「久しぶりにみーちゃんのご飯が食べたいんです。合宿から帰ってきた時くらいダメですか?ちゃんと勉強もしますから」
「…だ、ダメじゃない。何でも好きな物を作る」
「やった」
七海に対して酷く甘くなってしまっているのを自分でも感じる。
男子トイレなんかであんなに酷い仕打ちをされたのに、身体どころか頭まで七海に合わせて作り変えられてしまっている気がしてならない。
昔の自分では本気で考えられない心境の変化だ。
ほう、と白い息を吐き出しながら、しっかりと絡ませられた指先の温度を感じる。
七海が帰ってきたことで、正直自分も浮かれてしまっているのは否めない。
隣で楽しそうに合宿の思い出話をしながら歩く七海の横顔を見上げて、何かまだ俺に出来ることはないかと考える。
残りの受験シーズン、少しでも七海がやる気になれる俺にしか出来ないこととはなんだ。
ふと舞い降りてきた一つの考えに、俺は「あ」と声を上げた。
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