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その日俺達はもうお互いにドロドロだった。
身体を重ね合わせて、互いの存在を確かめ合って、気持ちを伝えあった。
立場や年齢や性別などそんなことはもう頭から抜け落ちて、ただひたすらに目の前の人が愛しくてたまらなかった。
そして七海に出会って二回目の4月が訪れる。
数日前まで高校で働いていたというのに、そう休む暇もなく今日からは大学で仕事が始まる。
七海はまだ入学式が来ていないので、相変わらず俺の家に入り浸っているが最近はバイトを始めたようだ。
「おい、朝食は用意してあるからパンでもご飯でも好きな方を…」
「みーちゃん、忘れ物です」
そう言って七海は玄関先で俺に眼鏡を掛けた。
思わずキョトンと瞬きしてしまう。
眼鏡はしばらく使っておらず、ずっと寝室に置いておいたわけだが持ってきたのか。
「…いきなりなんだ。もうコンタクトをしているから必要ない」
「超必要ですよ。これがないと俺とみーちゃんのラブラブ大学生活が無くなる危険性があるぐらい必要です」
「はぁ?お前が眼鏡ないほうがいいと言ったんだろう」
意味が分からない。
二人でいる時は散々人の眼鏡を外していたくせに、一体どっちがコイツはいいんだ。
「んーと、俺みーちゃんの眼鏡取るのが趣味なんです。だから俺に取られるまでは眼鏡掛けといて下さい。絶対外しちゃダメですよ」
「もう少しまともな趣味を見つけろ。お前は大学生なのだから今から始めればなんでも出来る。そうだ、お前はバスケが得意だしそれを趣味にしてみては――」
「はいはい、マジレスはいいですから」
そう言ってしっかりと掛けられると、ついでのように頬に口付けられる。
相変わらず簡単にそういうことをしてみせる七海に、ぶわっと体温が上がっていく。
じきに七海も大学が始まり、再び同じ場所での学校生活が始まる。
新生活への期待はあるが、もちろん同時に不安もある。
新しい環境で新しい友人に囲まれれば、七海の気持ちが変わってしまうのではないか。
いやそれより、また性懲りもなく「ムラムラした」といってまさか大学内でも犯されるのではないか。
さすがに大学生にもなってそんな行為をしたりはしないと思うが、いきなり不祥事を起こすわけにもいかないし、教師と生徒という立場上大学内での接触を控えたほうがいいのではないか。
そう思ってから、俺はフッと肩の力を抜いた。
少し前の俺なら間違いなく関わらない方向で行こうと頑なに思っていただろうが、俺とコイツは教師と生徒である前に恋人同士だ。
ちゃんと両思いであり誠実に付き合っているのだから、これからはもう少し柔軟に生きていこうと思う。
家を出ようと思い、ふと足を止める。
送り出そうとしてくれている七海に顔を振り向かせた。
「…ああそうだ。そういえば近々引っ越しをしようと思っている」
「え?」
「元々高校に近いからここに越してきたわけだしな。もう少し大学に近い場所を探しに行こうと思っているが、お前はいつが暇なんだ」
「…それって、ひょっとして同棲しようって言ってくれてます?」
「バカを言うな。お前と俺が教師と生徒である間は一緒に住むことなど出来るか。…だが恋人だ。だからお前にも住む家はちゃんと相談しようと思っている」
そう言ったら「ムラムラしました」と抱きしめられた。
やはりどう考えても先が思いやられる。
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