アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
7
-
********
シンジは仕事帰りにコンビニに居た。
暇潰しに本をパラパラとめくる。
本が配置されている壁は硝子張り。
シンジはたまに外を気にするようにチラチラと見る。
コンコン、
硝子を誰かがノックする。
シンジが視線を向けると、派手な女が手を振る。
彼は本を閉じると、外へ出る。
「アンタ今どこいるの?」
派手な女は馴れ馴れしくシンジに話しかける。
「どこだっていいじゃん」
面倒臭そうに答える。
「そうね、携帯あれば繋がるし」
「何の用だよ」
「お金貸して」
女はニッコリと微笑む。
「返したためしないくせに、良く貸してって言えるよな」
「いつか、利子つけて貸してあげるわよ」
女は悪びれた様子もなく、シンジの前に手を出す。
彼は財布を出して、2万程、女の手の上に置く。
「これだけ?」
少ないと女は訴える。本当に図々しい女。
「ねえよ」
「クレジットは?」
「ない」
「え~」
本当に図々しい。
クラクションがいきなり鳴り、女は慌てて車の方へ走っていくと乗り込んだ。
またろくでもない男と…
シンジは舌打ちをする。
「何ばしよっとですか?」
急に声をかけられ、シンジは飛び上がるくらいに驚き、振り向く。
英雄氏が立っていた。
「いや、別に」
「女の人とおんしゃったでしょ?」
「は?」
シンジは聞き返す。
「綺麗か女の人とおったやなかですか?」
「…あ、もしかして、誰かって聞いてるの?」
シンジは英雄氏が話す方言が半分理解出来なかったのだ。
「そうですばい、綺麗か人じゃったけん」
「母親だよ」
「ほー、そがんですか!あげな綺麗か人が」
シンジは通訳欲しいなあ…と苦笑いしながら、綺麗と何度も出てくる言葉で誉められていると分かった。
「あんなの綺麗じゃないよ」
シンジは否定した。
「ああ、言われてみたら綺麗じゃなかったかも知れんです。派手でしたもん」
シンジが否定すると合わせたような英雄氏の言葉に吹き出した。
「あはは、そうだよ、派手なだけだよ、あんなの」
「そうですばい派手じゃった」
英雄氏は頷く。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
57 / 162