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「遅い!」
寮の前で幸太は腕組みをして英雄氏を出迎えた。
「はう!やっぱり金髪が怒っとるとです」
英雄氏はシンジの後ろに隠れる。
「あ、シンジ君、ジジイと一緒だったんだ?寮の部屋空けてるから荷物運びなよ」
「えっ?空けてるって?」
シンジが聞き返すと、
「悪い、物置みたいに使ってたんだ。あ、でも掃除してるから綺麗だよ」
だから雑巾?
英雄氏が雑巾を買いに来てたのはその為だったのかと今更思う。
「す、すみません!俺の使う部屋なのに!」
シンジは慌てて幸太に深々と頭を下げる。
「いいよ、だって今日から仲間だろ?」
幸太は微笑む。
「そうですばい!シンジ君はもう仲間とです」
シンジの後ろから英雄氏が言う。
「じいは早く雑巾持って健太のトコ行けよ」
幸太は寮の方角を指さす。
「金髪はいばりんぼですばい」
シンジにしか聞こえないくらいの小さい声で呟くと逃げるように足早に中へと入って行った。
シンジは笑いを堪える。
今日から仲間だろ?
頭で幸太の言葉がリピートされる。
仲間?
仲間…、
仲間なんてくそくらえ!
シンジは心の中で吐き捨て、気付かれないように笑顔を作ると、
「俺も掃除します」
と中へと入って行った。
シンジの部屋は角部屋だった。
ドアの外に色んな荷物が置かれていた。
物置にしてた…って言ってた通りに電化製品から雑誌、壊れたソファやら机やら、…よく入ったなあ…とシンジは荷物の数々を見て思った。
「オッス、おかえりシンジ」
部屋へ入るとモモとユナが挨拶をする。
シンジは思わず後ずさる。
「シンジ君、おかえり」
健太が微笑む。
おかえり…
なんて返すんだっけ?
シンジにはあまり聞き慣れない言葉。
「ど、どうもすみません」
シンジは頭をペコリと下げた。
「掃除、もうちょっとで終わるよ」
と健太。
「お、俺も手伝いますから」
シンジは慌てて靴を脱ぎ、部屋へ上がった。
「もう、終わるよ。それより、荷物は?」
「いえ…俺、荷物は…」
シンジの荷物はロッカーに入っている鞄一つだった。
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