アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
それは初恋でした①
-
「おはよー!」
朝の騒がしい教室の扉を開けて、俺は室内全体に聞こえる声で挨拶をした。
「おー!まっきー、おはよ」
「朝から声でけぇよ!」
扉近くに居た男子に笑いながら挨拶を返される。
「いや〜俺、元気有り余ってるからさ!ついつい声がでかくなっちゃうんだわ」
「真紀くんは元気だけが取り柄だからな~」
そんな、他愛もないやり取りをクラスメイトとしながら自分の席へと座る。
「木村はよ〜、昨日のテレビ見た?」
隣の席のクラスメイトが挨拶をしてから、俺に話を振ってくる。
「おはよ!なんのテレビ?」
「バラエティ番組、ほらっあの二人組の芸人が出てる…」
「あぁ、あれな!見たよ〜、俺ちょ-笑った」
「だよなぁ!俺もだよ」
「何なに、なんの話し〜?」
俺とクラスメイトが昨日のテレビ番組の事で盛り上がっていると、今度は女子が話の中に入ってきた。
「昨日のバラエティ番組の話だよ、見た?」
「え~?あたし見てないや。誰が出てたの?」
「最近人気の、二人組」
「あー!あのコンビね、見たかったかも〜」
「あらら、残念!見逃すとは災難ですな〜!」
「うわー、真紀ウザイ!」
「痛っ!ちょっと、叩くなよー!」
残念そうにする女子に、俺が茶化すとその子は笑いながら軽く俺の背中を叩く。
それにまた、ふざけて助けてー!と叫ぶと、様子を見ていた周りのクラスメイトからどっ、と笑い声が起こる。
「お2人さん、熱いねー!そのまま付き合えよ〜」
「はぁっ?何で真紀なんかと付き合わなきゃなんないのよっ」
「あらら?顔が真っ赤だぞ〜?」
「別に赤くなってないし!」
俺のことを叩いた女子は周りから冷やかされ、耳がほんのりとピンク色に染まっていた。
言葉とは別に、顔は満更でもなさそうなので、俺に好意があるのだと言うことがわかった。
「なになに?俺のこと好きなの?」
「違うし!真紀ウザイ!!」
「痛いっ!ちょっ、本気で叩くなってば!」
からかいすぎたのか、今度は手加減なしで背中を叩かれて俺は痛みに悲鳴をあげると女子に背中を向けて逃げ出した。
そのやり取りにまた、クラスから笑いが起こる。
……あれ?
その時にふと、一番後ろの窓際の席に座る人物を見て俺は動きを止めた。
そこに座って居たのは、黒髪に黒縁メガネをかけた男子で。見るからに暗そうな雰囲気を放つやつだった。
そいつは教室での出来事なんて、一切興味が無いという様に外を眺めていて。
クラスの中でそいつだけ笑っていなかった。
「…き、真紀?どうした、急に黙り込んで」
怪訝そうな顔で、俺の顔を覗き込んできたクラスメイトの言葉に俺ははっ、としてその男子から意識を逸らした。
「いや、何でもねーよ」
「おいおい、元気だけが取り柄の真紀くんが黙るなんて。明日は雨だなこれは」
「ちっげぇよ!ちょっとぼーっとしてただけだって!」
「いやいや、ボケっとしてたんじゃんっ」
「うっせー」
クラスメイトに茶化されながら、俺の意識は先程見た窓際の男子の表情が頭から離れずにいた。
。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
2 / 3